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シンプルな靴下を編む


靴下を編んでみる

思い立って、靴下を作ることにしました。暖冬が続く昨今ですが、冬になれば、やっぱり足元は寒く、指先が冷えてしまいます。手編みの靴下はとても温かいですし、市販のソックスに重ね履きするのもよし。靴下は編み方のバリエーションが多いので、編み始めると止まらなくなる方も多いのではないでしょうか。

どんな糸で編む?

靴下を編むための糸としてソックヤーンが販売されていますが、そのほとんどは靴下に穴が開かないよう、強度を高めるために化繊が入っています。個人的には未加工の、ウール100%の糸が好きなので、今回はガンジーウールで編むことにしました。ガンジーウール(ガンジーヤーン)とは、ヨーロッパやイギリス・アイルランドにかけて編まれていた漁師のセーター(ガンジーセーター)を編むための糸。梳毛糸(繊維を平行に並べて紡いだ糸)にしっかりと撚りをかけたこの糸には、繊維がみっしりとつまっています。ガンジーウールで編まれたセーターは、編み地が詰んで、風雨や波しぶきからも体を守ってくれる。靴下のように穴が開きやすい編み地だからこそ、このタフな糸がぴったりなのです。

製図・編み図を作る

自分の足の寸法を測る

まずは自分の足の寸法を測ります。足の裏側を鉛筆でなぞり、足底・甲側回り(指の付け根付近や一番広いところをぐるりと)、くるぶしまでの高さ、足首回り、ふくらはぎ回りなど、編むために必要な個所の寸法をメモします。
次は編み方(デザイン)を決めます。今回は出来るだけシンプルで、靴下の基本形のようなデザインを目指しました。靴下の編み方は、ざっくり分けてトゥアップ(つま先からふくらはぎへ向かって編む)とカフダウン(ふくらはぎや足首からつま先へ向かって編む)があります。かかとをスイスヒール(かかとの両脇にガーター編みを編む)にしたかったので、カフダウンで編むことにしました。また、1玉を無駄なく使い切りたい思いもあり、別鎖の作り目で足首回りを先に編み、最後にカフ(縁編み)を拾い出して、編み切るまで縁編みを編もうと。このように編む方向や形を決めたら、実寸をもとに、仮の製図を書いておきます。
そしてゲージをとります。靴下は詰んだ編み目にしたいので若干きつめに。とはいえ、きつすぎると編む手を痛めることがありますから、その辺りは加減します(結果的にガンジーセーターを編むのと同じようなゲージになりました)。
このゲージで、製図の寸法を元に割り出しをし、編み図を作ります。フィット感のある靴下を編むためには、製図より少し小さめに編むこともポイントです。実際に(足の寸法を)細かく採寸するほど体は複雑な形をしているのがわかります。それを忠実に再現するのは難しい。寸法や目数・段数、編み方を考え合わせて、どこで折り合いをつけるかも大切なことです。

1stサンプルを編み、編み図を修正する

1stサンプルを編む

編み図を元に、サンプルを編みます。そして実際に履いてみます。すると、どの部分を修正したいかが見えてくる。この編み地は横には伸びるけれど縦方向は伸びにくい、かかと(底)はもう少し目数があった方が良さそう、スイスヒールではマチの拾い目が足りない等です。そこで、伸縮の性質を考え、巾は狭めでも丈はきちんと編むことにしました。マチの拾い目数は、必要な数を拾えるよう全てメリヤス編みのかかとを試しましたが、そのデザインは好みではないことがわかり、スイスヒールに戻しました。このように、気になる点を一つ一つ確認して、自分の感覚にしっくりくるデザインを選択し、編み図に落とし込んでいきます。この「修正する」作業をしっかりできると、靴下はとても良いものになっていきます。

2ndサンプルを編み、仕上がりを確かめる

修正した編み図を元に、再度編みます。そして履きます。フィット感やデザインを確認して、今回は自分でも「腑に落ちる」靴下に仕上がりました。色を変えて、いくつも編んでみたい…と思いながらも、次々と編みたいデザインが浮かんできます。人はこうして「靴下編み」にはまっていくようです。他にするべきこともあるのに、わくわくした気持ちがまた糸と針を握らせている…。なかなかやっかいな「靴下編み」、一度編み始めると、とめどないのが怖いです(にっこり)。

simple socks 1 :  yarn/ J&S 5plyshetland

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