タッカーカールソン「2023/0613デクラス」の全訳

こんにちは、タッカー・カールソンです。バイデン政権が本日午後、ドナルド・トランプを逮捕しました。彼は被告としてマイアミの裁判所で裁かれ、指紋を採取されました。現在彼は法的に「告発された罪人」です。これは、ドナルド・トランプを終生にわたり刑務所に送りこむプロセスの最初のステップです。

TVニュースはその瞬間をライブで伝えました。「これは前例のないことだ!」…と。彼らは驚きを隠せないようでしたが、実は驚いてはいませんでした。この事態が起こることを知っていたのです。少し注意を払っている人なら誰でも、これは必然的に起きたことなのだとわかっていました。2016年2月16日時点で、これが起きることは必然だったのです。その日は、人類史上最大の敵でかつ最も強力な組織、つまりアメリカ連邦政府に、ドナルド・トランプが決戦を挑んだ日でした。

覚えているでしょうか。トランプが移民や中国との貿易、メキシコからの強姦犯について述べたことを。それは今回の逮捕とは何も関係ありませんが、その年の(TVや新聞)の見出しを占めた話題でした。「トランプは人種差別主義者だ!彼を止めろ!」とマスコミは叫びました。しかし、ワシントンの内部では、それは単なる騒音に過ぎなかったのです。実際にはあまり重要な事ではありませんでした。ワシントンにとって、アイデンティティ政治はあまり意味を持ちません。本当に重要なのは、外交政策であり、侵略や占領、代理戦争、どの世界の人口が繁栄し、どの国が滅びるかを決定すること、そうした数兆ドルの費用を伴う政策です。それらの政策によって、ワシントン周辺の郡は世界で最も裕福な郊外になりました。

ワシントンでそれが実際にとても重要なことであることは明らかです。例えば、債務上限に関する議論があるとき、民主共和両党はそれぞれに割り当てられた立場を取って叫び合いを始めます。しかし、議会が戦争を始めることを決定するときは、それがどんなに愚かで、生産性に反し、明らかにアメリカの核心的な利益から切り離された戦争であっても、両党の指導者たちはサーカスのピエロのようにそれを支持します。そして、彼らはそこにとどまります。時には数十年にわたり、どんな証拠があっても容赦なくその戦争を擁護し続けます。

しかし彼らは、戦争への感情の高ぶりが冷め、非難の対象であった事案の詳細が我々の集合的な記憶から薄れ始めると、「私たちは良い意図を持って戦争を始めたのだが、なかなか事はうまく進まなかった。だが、良いニュースとしては、私たちは重要な教訓をそこから多く学んだ」などと言うわけです。

それは謝罪のようで謝罪でなく、悔い改めとも言えず、いずれにせよ遅すぎるのです。しかし、その言い訳がなされる時までは異論は許されません。それがワシントンの第一ルールです。しかし、なぜかトランプはそのルールを気にしませんでした。彼は異国から来た人間なので、おそらくそれがルールだとは知らなかったのかもしれませんし単に気にしなかっただけなのかもしれません。いずれにしても、7年半後、ワシントンがドナルド・トランプを刑務所に送ることを決定した瞬間がこの時だったと指摘することができます。それは、サウスカロライナ州グリーンビルで行われた共和党候補者討論会です。

トランプ:「私たちはイラクに入るべきではなかった。私たちは中東を不安定化させた。彼らは嘘をついた。大量破壊兵器があると言ったがなかったし、彼らはなかったことを知っていたのだ。大量破壊兵器は存在しなかった。」

「イラクに入るべきではなかった。それが中東を不安定化させたんだ」とトランプが言った時点で、共和党予備選挙の有権者の多くは同じ結論に達し始めていたのではないでしょうか。しかし、彼を今の運命に導いたのは次の一言でした。

「彼らは嘘をついた。大量破壊兵器はなかったし、彼らはなかったことを知っていた」

トランプがそれを言ったとき、観衆の中にはブーイングする人もいましたが、ほとんどの人は黙ってそこに座って驚いていました。「そんなことを言っていいのか…」と。でも彼は言い切りました。そして、それによって自らの運命を封印しました。それは言ってはならないことでした。なぜなら、その発言が左右両派の多くの人々を巻き込んだからですし、この問題に関しては左右の別など本当は無かったからです。

(左の)ヒラリー・クリントンは罪を犯しましたが、(右の)ポール・ライアンも同罪です。彼ら全員が罪を犯しました。彼らは皆知っていました。皆嘘をつきました。彼ら全員がトランプがそのことを暴露したことを憎んでいました。その後、トランプが仮に大統領に選ばれたとしても、彼が自らが監督することとなる連邦政府を制御しようとしても、非常に難しい状況に直面することになっていたのです。ワシントンの住人は、トランプを阻止することが彼らの人生での最重要ミッションだと決意したのです。

彼らにすれば、そうしないわけにはいかなかったのです。彼らのうちの何人かは公にそう言いましたが、公に言わない者もいたし、実際こっそりと別の道を進む人々もいました。彼らはトランプの新しい政権を内部から破壊するために彼に取り入ったのです。そのような人々は沢山いて、瞬時に見分けることができます。そういう人はトランプから離れるのではなくあえて接近し、常にトランプにおべっかを使い、それでいて一番彼を憎み、彼の意見に最も強く反対しました。

私はホワイトハウスの廊下や記者会見で彼らを見かけましたが、彼らは上司のトランプがまるで王侯や神であるかのような感じで話し、自虐的にごまをすっていました。それはオスマン朝の宮廷の光景でした。それは汚れて堕落しており、欺瞞でした。

マイク・ペンス、ニッキー・ヘイリー、マイク・ポンペオ、リンジー・グラハム、議会、彼ら全員がトランプを「ビジョン豊かな天才」と呼んでいました。彼が権力を失うまでは。その後彼らは本当の目的、つまりネオコンの戦争の意図を露わにし、最大限の力を持ってトランプを攻撃しました。

たとえば、マイク・ポンペオは今朝のFoxニュースでこう言っています。

ポンペオ:「トランプ大統領は、持っているべきではない場所に機密文書を持っていました。そしてそれを返却する機会が与えられたとき、彼はなぜかそれを返却しなかったのです。誰かがその点を指摘したなら返却はしなければなりません。彼の行為はアメリカの兵士、海軍兵、空軍兵、海兵隊員を保護するという彼の発言と一貫していませんし、もし告発が真実であるなら、かなり深刻な重要な文書を含んでいますから、彼の行為は間違っていますね。」

後世の歴史家たちは、「帝国後期」のワシントンの謎を解明しようとする際にこのビデオを研究すべきです。なぜなら、この朝のFoxニュースでドナルド・トランプをあざけるマイク・ポンペオという人物は、CIA長官と国務長官という連邦政府で最も権力のある職についていて、その職に就いた際にトランプの政策を支持することを約束した人物なのですから。実際にそのような誓いを立てたあのポンペオと今のポンペオは同一人物なのです。彼がトランプの政策を支持し宣誓したのは何故かって?それが民主主義の仕組みだからですよ。あなたは候補者に投票することで、投票者が支持した政策を実行する(例えばポンペオのような)者が任命されるはずだと信じて投票するでしょう。そう信じているのは大統領ではないのです。有権者であるあなたです。

しかし、ポンペオは何もしなかったのです。彼はトライさえしなかったのです。実際、彼はトランプの平和と非介入の約束に常に反対しました。彼が起きている時間は、いつも遠くの異国でどう戦争を扇動するかという考えることに使われていました。イラン、シリア、ロシア、北朝鮮。そのリストは続きます。しかし、トランプの考えに反対する代わりに、彼はトランプに取り入りました、彼が軽蔑する男に対して過剰な方法でごまをすりました。

その当時のホワイトハウスで働いていた人々に尋ねてみてください。「毎日、ドナルド・トランプに対し、彼がハンサムであり、男らしく、スリムで力強いなどとおべっかを言ってる可能性の一番高い者は誰ですか?」と。そう問えば、皆「マイク・ポンペオ」と答えるでしょう。ポンペオの執拗なお世辞に耳を傾けた者たちは、決して忘れることはありません。それは不快なものでしたから。

自尊心のある者はそんなことはしないでしょう。しかし、マイク・ポンペオは易々とそうしました。喜びと熱意をもって。今、その同じ人物がFoxニュースの視聴者に対して「米軍、兵士、水兵、空軍兵、海兵隊員の安全を心配している」と言っています。ドナルド・トランプがいくつかの機密文書を家に持ち帰り、それを直ちに国立公文書館に返さなかったのがその理由だというのです。なんという虚言でしょうか。

マイク・ポンペオはそれが嘘であることを知っています。彼は一生をワシントンで過ごしました。ワシントンはすべてが機密扱いされている都市です。あなたはアメリカ市民であるかもしれませんが、実際には「そうではない」のです。よって、ワシントンで何が起こっているかを知るために必要な資格をあなたは持っていないのです。

ところで、これらすべてはアメリカをより安全にするために行われているわけではありません。COVIDの制限があなたの健康を保つために設計されたと言うような虚構と同じなのです。これはカースト制度なのです。それがポイントなのです。あなたはこの階級社会の中で、色々な事に触れてはいけない人なのです。

マイク・ポンペオはその事実を知っています。ワシントンで働くすべての人々がそれを知っています。ディック・チェイニーが諸事を運営していたとき、彼はどれくらいの機密文書を家に持ち帰ったと思いますか?彼はその資格を持っていなかったのに。その答えはわかりませんが、チェイニーが調査される可能性はないでしょうし、彼のスタッフが自分の目の前で録音機をつけるよう(FBIに)指示されることもないでしょう。彼は決してそれに対して起訴されないのです。ディック・チェイニーはネオコンです。ドナルド・トランプはそうではありません。ディック・チェイニーはロシアとの戦争を支持していますが、トランプはそうではありません。それが違いです。それ以外のことはあなたの気をそらすだけのものにすぎません。

ドナルド・トランプの起訴は明らかに政治的なものです。彼は文字通りジョー・バイデンの政治的な最大の対立候補です。彼は現在、共和党の有権者のうち60%以上の支持を受けています。だから、ジョー・バイデンはどの大統領も試みたことのないことをしています。彼は法執行機関を使って彼のライバルを刑務所に閉じ込めようとしているのです。それが今起こっていることです。それが起こっていないと主張する人は、あなたに嘘をついているのです。

しかし、実際にはこれはそれ以上に悪質なことなのです。トランプの起訴は単に政治的なものではなく、イデオロギー的なものです。トランプの考えを持つ人々は、この国では権力を持つことは許されていません。戦争に対して批判的な意見を述べると資格がなくなります。それを続けると、あなたは刑務所に送られます。それがワシントンが送っているメッセージです。民主党だけでなく、共和党までもが送っているメッセージです。

例えば、保守派とされるテキサス州知事のグレッグ・アボットは、アメリカの司法制度の崩壊を完全に無視して、重要な法案であるクラウン法を署名しました。アボットがそれを祝ってツイートで伝えたところによれば、クラウン法は「人種に関連するとされる肌質やヘアスタイルに基づく差別を禁止する」とのことです。つまり、テキサス州ではコーンロウ(黒人の人がよくするヘアスタイル)が法律で保護されるようになりましたが、ウクライナについて承認しないという意見を持つことは許されていません。

これはほとんどのエスタブリッシュメント共和党員にとっては問題ではありません。彼らはトランプにうんざりし、恥ずかしいと感じています。彼らの寄付者はトランプを嫌っています。彼らは彼が刑務所で亡くなることを悲しむことはありません。では有権者は、この光景から何を学んでいるのでしょうか?ほとんどの場合、自分たちには何の力もないことを学んでいます。だって、エスタブリッシュメントたちは有権者なんて気にしてはいないのですから。しかし、有権者はすでにそれ自体については知っています。多くの選ばれた指導者たちとは異なり、彼らの中には最近アメリカの旅をした者もいます。彼らはアメリカがどのように見えるかを知っています。

もし夏に数日の休暇があるなら、あなたも確かめてみてください。ロードトリップをして、自分で確認してください。どこかに500マイルほどドライブして、そして帰ってきてください。状況はどう見えるでしょうか。それは素晴らしいはずです。連邦政府は昨年6.5兆ドルも使いましたから。これまでで最も多い政府支出額です。だから、少なくとも完璧な公共道路が期待されますよね。ところが、そうでもありません。この国を走ると、ポットホール(くぼみ)やジャージバリア(主に中央分離帯や車止めなどに用いられるモジュール式の車両用防護柵)がいたるところにあります。まるで中国がホンジュラスのインフラを再建する前のテグシガルパ(ホンジュラスの首都)のように見えます。しかし中国はアメリカの道路を修理はしないので、この国の道路は崩壊しているのです。

ロードトリップで通り過ぎる人々は幸せそうに見えるはずです。なぜなら、アメリカは非常に裕福な国ですから。しかし、多くの人々はそうではありません。かなりの数の人々が麻薬中毒になっているように見えます。彼らが小さな町の閉店した店舗のそばでよろめきながら歩くのを見ると、あなたはこんな疑問を抱くでしょう。あのお金はどこに行ったの?ここにはないのに。

お金はワシントンにあります。フェアファックス郡とラウドン郡にありますし、整然と整えられたワシントンの北西部にもあります。そしてもちろん、その多くはウクライナに行きました。ゼレンスキーと彼の友人に行きました。あなたがそんな決定に投票したわけではありません。あなたはそんなことのために彼らに投票はしませんでした。絶対に。しかし、ジョー・バイデンと彼の多くの仲間、チャック・シューマーからミッチ・マコーネル、ポール・ライアン、そしてテレビのすべてのニュースキャスターまで、彼らはウクライナの国境や将来が、かの国のインフラストラクチャーが、あなたの町のそれよりも重要だと考えています。明らかなことです。

トランプについて他の誰が何を言おうと、トランプはワシントンの長年の無意味な戦争計画から降りた者として、今後実際に大統領になる可能性がある唯一の男です。そして、そのたった一つの事実のために、彼らはあなたが彼に投票する前にトランプを排除しようとしているのです。それは、アメリカの政治や人生で起こっているどんなことよりも、あなたを怒らせるはずです。

たとえあなたがドナルド・トランプに投票するつもりがなくても、ドナルド・トランプに投票する前に死んでも良いと思っていても、それはあなたの権利です。多くの良心的な人々がそう思っています。それでもなお、我々の民主主義が破壊されるとなれば、つまり、有権者が自由に任意の候補者を(それがたとえロシアとの戦争を望まない候補者であっても)支持する権利を破壊されるとなれば、それはあなたの安眠を妨げることになるでしょう。

そう。ドナルド・トランプは欠点のある人物ですが、しかし彼の罪は彼の迫害者たちの罪と比べれば小さいものです。この人生では、私たちは殉教者になることはできません。私たちは自分の原則を選ぶことしかできません。そしてそのアメリカの原則が今危機にさらされています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?