バステト
やわらかな背中に指をしのばせるとどこまでもあたたかい
わたしはきみを抱く事しかできないので
離れていてもきみの重さを意識するようになった
きみの誕生日をわたしは知らない
今日も誰かの誕生日ならきみの誕生日を毎日にしたい
わたしを信用しきるだらんとのびた腕
きみがペンをとるなら左利きか右利きか夢想していちにちは終わる
愛されていることを知ろうともせず雨の日はいぎたなく寝ており
必要があれば無邪気に腕やあごをやんわりと噛んでくる
それが深夜でも飛び起きてわたしは無いしっぽをふる
きみの重さは私に預けられてはいるが
むしろ私がすべてきみに依っているのである
わたしのバステト 目の鋭敏な変化は太陽の回転にしたがうもの
闇の中でものをみることができるのは
夜太陽がきみの目をとおして下界を見るため
ざらざらの舌でわたしを毛づくろいしてくれるとき
わたしの生のほこりは薄くはがれ
毛玉と一緒に草むらにこぼれる
わたしは精一杯おもしろくもないうたを
きみのためにうたうよ
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