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【営業現場把握】スキルマップについて② ~理想的なスキルマップの作り方~

 こんにちは、株式会社ブレーンバディの兒玉です。前回は、営業育成DXを進めるにあたって、スキルマップの重要性について考察させていただきました。
 今回は、企業様からも多くご相談いただく
・スキルマップの作り方がそもそもわからない
・今あるスキルマップの精度が低い
・理想的なスキルマップの作り方がわからない
上記の内容について考察していきたいと思います。多くの企業様のスキルマップ作成のコンサルティングを通して分かったことは、フローをきちんと踏めばある程度の理想に近いスキルマップを作成することができます。

スキルマップ作成の大枠のフロー

 まずはスキルマップ作成の大枠のフローの整理からです。推奨は下記になります。
1.自社の営業フェーズを言語化する
2.フェーズごとでの必要スキルを整理する
3.自社のハイパフォーマー、ミドルパフォーマー、ローパフォーマーを選定する
4.それぞれの属性に対して、フェーズごとでのヒアリングを実施する
5.共通項と濃淡を意識しながらスキルマップの項目に落とし込んでいく
6.現場マネージャーのレビューをいれる
一つ一つ解説していきます。

1.自社の営業フェーズを言語化する

 まず初回のステップとしては、自社の営業フェーズを言語化することからはじめます。説明は不要かもしれませんが、営業フェーズとは事前準備や訪問、提案やクロージングなどの営業プロセスを細分化・可視化したものです。下記図のように、自社の大枠の営業フェーズを言語化してみてください。

営業フェーズを言語化する

2.フェーズごとでの必要スキルを整理する

 フェーズを言語化できたら、次は各フェーズに対しての必要なスキルを精査していきます。スキルを精査する際のポイントとしては、「自社のハイパフォーマーの属性が持っているスキル」を思考のベースとして、スキルを選定していくことです。スキルマップの大目的の一つとして、自社のハイパフォーマーの模倣環境をつくる、があるため、ハイパフォーマーや自社営業組織の理想形の営業パーソンが持っているスキルを選定していく必要があります。
 具体的なスキルの整理方法は、下記のような世の中に散らばっている営業スキルをまずは収集し、

世の中の営業スキルを収集

 各フェーズごとで、ハイパフォーマーや理想形の営業パーソンが持っているスキルを、パズルのように当てはめていく作業を推奨しています。

各営業フェーズごとに1~3個(あくまでも目安)のスキルをマッピング

 ここまでのスキルマップのベースとなるものを、作成・議論できたら、次は社内ヒアリングの実施に向けた準備です。

3.自社のハイパフォーマー、ミドルパフォーマー、ローパフォーマーを選定する

 スキルマップ作成の際には、現場ヒアリングは非常に重要な工程になります。以前もTwitterで、スキルマップ作成・運用が失敗してしまう例として、下記を上げさせていただきました。

 一部のメンバーやマネージャーのラインのみで決めてしまうと、実際の組織とかけ離れたスキルマップが作成されてしまうことが多く、運用がうまくいきません。必ず現場ヒアリングを実施しましょう。
 そして、ただ闇雲に現場ヒアリングを実施するのではなく、
・ハイパフォーマー
・ミドルパフォーマー
・ローパフォーマー
の3属性を定量結果や定性イメージなどでも問題ないので、ヒアリング対象を設定し、各属性3名ずつ、合計9名ヒアリングできるのがベストです。同属性の複数人をヒアリングするメリットとしては、ヒアリングの中からハイパフォーマーの共通項を見つけたり、ローパフォーマーの共通課題が見つかったりなど、ここの人数が多ければ多いほどスキルマップがより精緻なものに仕上がっていきます。

4.それぞれの属性に対して、フェーズごとでのヒアリングを実施する

 ここまで準備ができたら、実際の現場ヒアリングに移っていきましょう。先ほどの営業フェーズ、フェーズごとのスキルを参照しながら、
・対象者が普段意識していること
・対象者が普段実践していること
・対象者自身が比較して、よりそれができている人が実践していること
をヒアリングしていきます。ヒアリング時のポイントは、回答を誘導しないように、シンプルにフェーズの言葉を投げかけて、そのフェーズに対して上記3項目をアウトプットさせるのが良いと考えています。

例としては
・アポ獲得 必要スキル①②③
・事前準備 必要スキル①②③
・ヒアリング 必要スキル①②③
・提案 必要スキル①②③
・クロージング 必要スキル①②③
・フォロー 必要スキル①②③
このような営業フェーズとスキル構成だった場合は、スキル構成には触れずに
「アポ獲得で普段意識していることは?」
「アポ獲得で普段実践していることは?」
「アポ獲得で自分よりできる人が実践していること(イメージでも可)は?」
のようにヒアリングしていくイメージです。自分よりできる人をヒアリングする意図としては、社内にハイパフォーマーがあまりいなかった特に、高いレベルの項目の参考にしたり、ハイパフォーマーよりも高いレベルを設定したスキルマップ構成したい場合の材料になるため、実施を推奨しています。

5.共通項と濃淡を意識しながらスキルマップの項目に落とし込んでいく

 上記ステップを踏んで、現場のヒアリングによる情報収集が完了したら、次はスキルマップ項目に落とし込むための作業になります。集計方法は自社の好きなやり方で問題ないですが、下記のように一覧にまとめるとわかりやすいです。

集計イメージ

 フェーズごと、属性ごとにマトリクスを作り、ヒアリング項目を集約していきましょう。(+となっている部分は、それぞれの属性の更にレベルが高い人のできていること、イメージをヒアリングした要素になります)
 あとはこのマトリクスと初期設定した、フェーズごとのスキル構成を比較しながら

 レベル1~レベル5の濃淡がつけられるか?
 スキルに即した各レベルに適切なチェック項目は何か?
 そもそも初期設定した不要なスキルはないか?
などを議論しながら、下記スキルマップを完成させていきます。

6.現場マネージャーのレビューをいれる

 作成後は、改めて実際このスキルマップを利用する現場マネージャーにレビューを入れましょう。違和感のある項目は無いかを確認し、現場により近いスキルマップにするためのフィードバックをもらうようにしましょう。

7.実際利用してみる

 正式リリースの前に、実際スキルマップを利用するメンバーにトライアル利用の実施を推奨しています。実際利用してみると、「成果を残しているメンバーに対して、高いスキルレベルをチェックできない」「マネージャーがどう判断してよいか分かりずらいチェック項目がある」など、レビューの時には発見できなかった、新たな修正ポイントを回収することができます。修正ポイントが多い場合は、改めて5→6→7のステップでスキル項目を再考しましょう。

 以上、今回はスキルマップの理想的な作り方について解説していきました。上記フローに則ることができれば、ある程度の理想のスキルマップの作成は可能だと考えております。また、重要なのはスキルマップというのもは、自社の営業戦略や環境要因によってフェーズやスキルチェック項目が変わるということも、事前に留意しておかなければなりません。最低でも半期~通期に1回はスキルマップの見直しができる環境やチームの役割を設定しておくことも重要です。
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