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芸術関連の記事

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#美術館

国立西洋美術館と空想エッセイ《2》 2024年3月【3】

前回に引き続き、美術鑑賞から始まる空想のお話。 *** 絵の表面がテカテカしていて綺麗だ。板に描かれているらしい。これまで観てきた絵はキャンバス、つまり布だった。1520年代に制作されたという。500年前に描かれた絵がこんなに綺麗な状態であることが私には信じられない。 日本では戦国時代にあたる。1521年に武田信玄が生まれた。1523年には毛利元就が26歳(数え年)で家督を継いだ。信長・秀吉・家康が生まれるのは1530~40年代。 プリーゴ(1492-1527)はフィ

五美大展と空想エッセイ 2024年3月【1】

2月29日、国立新美術館(港区)で五美大展を観てきた。5つの美大の卒業制作の展示だ。この記事では、気に入った作品をいくつか取り上げる。 ただし作品の紹介ではない。作品を観て私が思い浮かべたことを書く。主体は作品ではなく私。レビューではなくエッセイ。それを了承の上、読み進めてもらいたい。 林美桜「白昼夢」。なんていい表情なのだろう。彼女たちの内面を想像したくなる。ずっと見つめていたいし、ずっと見つめられていたい。お互いがお互いの目を見つめて、お互いの心を探り合うのだ。言葉は

国立西洋美術館の思い出 2022年4月11日~15日

【4月11日】 大学時代、上野の国立西洋美術館はお気に入りの場所だった。 絵画の展示は中世の宗教画から始まる。私はキリスト教徒ではない。でもその文化には惹かれる。 基本的に描かれた年代順に展示されている。平面的な宗教画が立体的になっていく。冷たい顔に体温が通っていく。絵がグラデーションのように変わっていく。いわゆるルネサンスだ。ここではそれを、実物を観ることによって体験できる。 私は、特に西洋美術愛好家というほどの者ではない。ただ雰囲気が好きなのだ。ここに来ると、古い時

芸術は身近にある 東京・上野公園

去る11月28日、上野公園を訪れた。小春日和で快晴。イチョウの葉が黄色に染まって美しかった。 広場でフォルクローレの奏者が演奏していた。心にしみたので、投げ銭。 黒田記念館に向かう途中で渋い洋館が目に入る。旧東京音楽学校奏楽堂だ。音楽の素養がないため展示物には惹かれなかったが、建築や音楽ホールは味があってよかった。 入館料は300円。日本最古の洋式音楽ホールを有する建造物で、国の重要文化財だそうだが、サラッと見るだけなら10分で終わる。何時間でもいられる美術館や博物館が

東京都美術館から国立新美術館へ 2023年12月【5】

美術館めぐりが好きなどというと格好つけている感じがするのだが、最近それが趣味になっている。お金がないので私立は無理。公立でも企画展は高額なので避け、常設展や公募展にしぼっている。 12月18日、東京都美術館に行った。先月も2回訪れており、もはやおなじみの行き先。この日は高校生の作品を観るつもりでいた。 所沢から西武線で池袋。JR山手線で上野。公園口で降りる。ほぼ散ってしまった黄色いイチョウを眺めながら歩いていく。美術館入り口まで来て愕然とした。 休館日だった。この日は月