斎藤法務大臣問責決議案反対討論【国会文字起こし】

何の変哲もない国会文字起こしです。

2023年6月7日参議院本会議
斎藤法務大臣問責決議案
公明党 谷合正明議員

(動画の39:41から)

公明党の谷合正明です。
私は自民公明を代表して、ただいま議題となりました斎藤健法務大臣問責決議案について、断固反対の立場から討論を致します。
斎藤法務大臣は、昨年11月の就任以来、法務行政に全身全霊を傾け、その責務を全うしてこられました。
送還忌避、長期収用の問題を解決するための、入管法等の一部改正案については、委員会の審議においてどのような質問に対しても答弁をはぐらかすことなく、終始真摯に答弁を重ねてこられました。
私は、斎藤法務大臣がかつて農林水産大臣を務められていたときに、副大臣としてお支えしておりましたが、仕事に対する姿勢は一貫しております。
問責の理由は、大臣会見での発言の訂正や大阪入管の常勤医師の飲酒問題などにより入管法の法案審議の継続ができないというものですが、言い間違いは誰でもあることであり、問責の根拠にはなりません。
また、大阪入管の問題も、法務大臣に原因を求めるには無理があります。問責決議案の根拠は、極めて薄弱であると言わざるを得ません。
参議院法務委員会では、衆議院を超える十分な審議が行われてきました。議論を尽くすと同時に、結論を出すことも私たち国会の責務であります。
委員長が質疑を終局しようとした判断にも手続きにも何の瑕疵もありません。
このことは、法務委員長解任決議案に続いて、今回の法務大臣問責決議案も提出会派は立憲のみであることにもあらわれているのではないでしょうか。
ちなみに、問責決議案が提出されたのは、4年ぶりです。
その前年には、法務大臣問責決議案も提出されましたが、いずれも4会派、5会派共同の提案となっていますます。
私たちは、審議日程を遅らせるだけの党利党略による問責を決して認めるわけにはなりません。
以下、入管法改正案の必要性について述べます。
日本人と外国人が互いを尊重し安全安心に暮らせる共生社会を実現していくためには、外国人の人権に配慮しながら、ルールにのっとって外国人を受け入れるとともに、ルールに違反するものに対しては厳正に対応していくことが重要です。
その上で、現行入管法下で生じている送還忌避、長期収用問題の解決は、喫緊の課題であり、人道上の危機に直面し、真に庇護すべき方々を確実に保護する制度の整備もまた重要な課題の一つであります。
そこで今回の改正法案は、保護すべきものを確実に保護した上で在留が認められない者については迅速に送還可能とする、長期収用を解消し、収用する場合であっても適正な処遇を実施する、という考え方の下、適性な出入国在留管理を実現するバランスの取れた制度にしようとするものであります。
現在の入管法では難民認定手続き中の外国人は申請の回数や理由を問わず、我が国から退去させることが出来ません。
一部の者は、これに着目し難民認定の申請を繰り返すことで退避を(退去を?)回避しようとしています。
不法滞在者が在留を継続するための頼みの綱が一律の送還停止効というのは、制度趣旨から言って適正な使われ方ではありません。
そこで、改正案では3回目以降等の難民認定申請に関して、送還停止効に例外を設けますが、昭和57年の制度創設以来、3回目以降の申請で難民と認められたケースは0.003%であり、そのケースも本国事情の変更によるもので、法改正後も送還停止効が継続されるケースに該当します。
万が一にも保護すべき事情のあるものを送還しない仕組みと言えます。
また、送還停止項の例外に該当するものであっても、ノン・ルフールマン原則により入管法第53条3項に定める相関が禁じられる国に送還することはできません。
特定の難民審査参与員の審査件数に関して、立法事実がなくなったとの批判がありますが、これは立法事実の1つに過ぎず、立法事実が揺らぐものではありません。
参議院の参考人質疑では、野党推薦の参考人が、難民審査参与員として当たった不服申し立て審査で、500件の案件中、難民該当性があると判断したのは約40件とのことでした。
逆に言えば、野党推薦の参考人でさえ、9割以上は難民該当性がないと判断したことになります。
やはり、制度の濫用対策は必要です。
難民認定手続きにおいては、難民を迅速かつ的確に保護していくことが必要です。
改正案では紛争により避難民を保護するために、補完的保護制度を創設することになりました。
これにより我が国に避難したウクライナ避難民等の法的保護が可能となります。
難民認定率は保護すべきものを保護した結果です。
昨年の我が国の難民認定と人道的配慮、ウクライナ避難民などへの特別措置を含めれば、広義の庇護率は約70%であることは知られて然るべきであります。
また、今回の改正で難民認定申請制度と切り離して、在留特別許可の申請制度を創設したことは重要です。
退去強制手続きの対象となった者であっても、どのような場合に我が国の社会に受け入れるかを明らかにするために、判断に当たっての考慮事情を明文化することになりました。
長期収用問題については、原則収用主義と言われてきた今までの姿勢を改めたことは大きな政策変更であり、評価できるものであります。
現行法では、被収容者の収容を解くためには、仮放免に頼らざるを得なかったところですが、昨年末で、約5割の仮放免者の行方がわからなくなっていることは、大きな問題です。
そのため、改正案で管理人による管理措置を設けたことは、長期収用問題の適切な解決策と言えます。
ウィシュマさんのような事案はあってはならないことであり、このような事案の再発を防止するためにも、法改正は必要です。
改正案を廃案にすることは、現状を維持することであり、なんら現状の改善に繋がる物ではありません。
斎藤法務大臣におかれましては、今まで通り、国民の為にご尽力いただきたいことをお願い致しまして、私の反対討論と致します。

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