最初が肝心
私は、あまり犬好きじゃありません。
幼児の頃は、家で犬を飼っていた時期もあり
とても可愛がっていた記憶もあるのですが。
新宿の住宅密集地の建売りの家に住んでいた時
向かいの家が、ベランダで犬を飼っていたんです。
その家は、昼間は誰も居ませんでしたが
朝皆が出て行ってから、誰かが帰宅するまで
犬はベランダで吠え続ける訳です。
風邪で体調が悪く、仕事を休んだ日など
殺意さえ湧きました。
それ以来、本当に犬が苦手になりました。
トトロの森に囲まれたような田舎の家に
引っ越したのも、絶えず騒音に悩まされた
反動かもしれません。
数年間は、とても静かに、平和に暮らして
いたのですが、バブルの時期が到来し
そんな田舎にも、建売住宅が建設されました。
幸い隣接はしていませんでしたが
子供の幼稚園の送り迎えなどは
その集合住宅の前の道を通ることになりました。
ある朝、子供を送って戻って来ると
いきなり犬が吠えついて来ました。
とっさに声のする方を睨みますと
茶色の中型犬が居ます。
奴から目を逸らさないまま
「アタシはあんたの前からここに住んでいる。
新参者はお前の方だろうが!
アタシに吠えかかるなんて
絶対に許さないからな…」と
心の中で念じて、睨み続けておりますと
最初はかかって来る気満々だった奴は
私から目を逸らすように。
なおも睨んでおりますと
今度は明後日の方向を向いて
何もなかった事にしたい。
いや、させて下さい的な雰囲気に。
そこで、まあ、分かればよろしいと。
それからはそこを通る度に
奴は私を見るや目を逸らし
空気のような存在に。
最初が肝心。
因みに、とあるマンションで暮らした時は
周囲がベランダの鳩被害に悩む中
引っ越した当日から、鳩が来る度
しつこくサッシを叩いて、来るなと説教したお陰で
わが家のベランダには、鳩は一羽も来なくなりました。
やっぱり最初が肝心。