大きい病院

寒い場所で待つこと15分

ようやく看護師さんがきました。
「お待たせしました!とりあえず問診票書いてもらって~…あと熱はからせてね。
37℃以上あるとコロナ予防のために検査しないといけなくて~」
と熱をはかると37,0℃でした。

「うん。熱あるね。
そしたら検査するから~結果出るのに1時間かかるんだけどその間はここで待っててね」


え…?この息が出来なくて苦しい状態で
このくそ寒い場所でさらに1時間待たされるの?
え?まじで?上着脱いでもう1回熱はからせてくれないかな?!
内心そう思いつつ

「ういあえん…いいあえいあうえ…」
すみません…息が出来なくて…

と伝えようとするも
「……ん?なんて?」
と聞き返されるだけで

「うういいんえう」
苦しいんです

「え?」
何度も伝えようとしても無駄で
あと1時間我慢出来ればいいのか…と涙目になりながら首を横に振りました。

旦那がいれば言いたいことわかってくれてたのに…
もう1時間、ここで苦しいのを我慢しないといけないんだな…
もう二度とこの病院には来ることはないな…
などと思いながら唾液を取り、孤独、不安、恐怖を感じながら1時間必死に呼吸をしました。


1時間後、ようやく看護師さんがきて
「大丈夫だったから行こうか~」とさっさと歩き出してしまいます。

私は待っている間に足は再び腫れ上がり、いつものように剣山の上を歩いているような痛みに耐えながらボストンバッグを持ち、一歩一歩歩くのに必死でした。

あっという間に看護師さんは見えなくなり、付いていこうにも足が痛すぎて歩けず、旦那が恋しくなっていると看護師さんが戻ってきて
「なしたの?なんでついてこないの?」と言ってきました。

ついてこないんじゃなくてついていけないんだよ!と思いつつ

「あいあ…いあうえ…」
足が…痛くて…

と伝えましたが
看護師さんは顔をしかめるだけ。

きっと受付の人や看護師さんは私が喋れない人間か何かだと思ってるのかな…と思うとやりきれない気持ちでいっぱいでした。

「何?歩けないの?」
きっと看護師さんも忙しい業務の中で私の対応もあってイライラしたんでしょう。

頷くと「はぁ…」とため息をついていなくなってしまいました。


私はゆっくりゆっくり看護師さんが最初に曲がったところまで足を進めて角を曲がろうとしたときに看護師さんが車椅子を持って戻ってきました。

「はい、乗って~」と言われて車椅子に乗りましたがそのとき看護師さんにボストンバックを足の上にドン!と乗せられて
咄嗟に「うううっ…」と唸りました。

よく叫ばなかった。叫ばないだけ偉い。
自画自賛です。

看護師さんは「なしたの?痛かった?ごめんねー」と慣れたように謝罪。


そのあとは何の説明もなくあちこちの部屋に連れていかれて
「はい、着替えて」
「こっち行ってレントゲン取って」
「はい、次あっち」
とドライブスルーも顔負けな速度で行程を終わらせていきます。

ようやく呼吸器内科の先生の元へ行く頃には
自分が何の検査をしたのか思い出せないほどでした。

紹介状を見て「何かメモあるって?」と言われたのでスマホのメモを見せて
「うーん…そっか…うん…したら喉見るかな」とまたカメラを入れて診てもらいました。

「こんだけ腫れてたら声も出なくなるし呼吸も出来なくなるわ
救急車呼んでも問題ないレベルかな
うーん…とりあえず点滴してそれでも悪化するようなら気管切開することもあるかもしれない」

そう言われました。


やっと病室について片付けを終えた頃
部屋の担当の看護師さんが挨拶にきました。
「喉が腫れて声が出ないんですよね?
そしたら筆談のほうがいいかな?

それと足も痛いってことだけど~…ちょっと靴脱いでもらって~…」

と靴を脱がされて
そこには見たこともないほど腫れ上がった足がありました。

足を動かすたびに唸り声をあげる私を見て
「痛そうだねぇ…足あげて冷やしたほうがいいよね?
今持ってくるからちょっと待っててね」
と言われました。


この病院にきて初めて優しくしてくれた人でした。

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