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会えないと思ってた。

『ビックリした。わたし、隊長になってる(笑』とメールが来た。

もう深夜と言えるような時刻だった。
実際、僕は夕食後に既に一度眠ってからのことだった。
息がうまくできない。

『ケーキ食べたいなぁ。今行っていい? 作ってよ』

『今?』

『どのくらいかかる?』

『わからない。もう10年くらい作ってない。てか、電話かけてよ。番号変えてないよ』

『じゃ、行く』

動転して全く正確性を欠いた会話の再現だけど、こんなかんじだった。(メールは全て削除済み)

イチゴと生クリーム、買いに行かなくちゃ。あ、マイバスケットがあと10分で閉まっちゃう。(結局その先のドンキにも行った)
10年以上、メールも無かったのに。そしてその30分後には鍵を開けておいた玄関が開いた。

「もう年末よ」ドアから顔だけ出して言った。
「10年以上音沙汰なかったのにそのセリフなの?」
「ふふ~~~~~。しぶちかで店員してたでしょ?」
「え? 見たの?」
「あそこは誰でも通るでしょー」
「・・・」
「女子高生と話してたよ」
「あ・・・。あいつはあの時まだ中学生だった」
「中学生か。あきら(あぎ)にはあり得るね」
「説明した方がいいかな?」
「いらない。ケーキは?」
「今スポンジ焼いてる」
「ケーキで釣ったのね。女の子」
「だから説明し・・・」
「いらない」

そんなこんなでケーキ作りました。

ちょっと雑だな。
砂糖が和三蜜糖っていう和風のしかなくて、どうかなと思ったけど、まっ いいかぁってことにした。袋がチャック付きだったから買ったんだ。周りに塗ってあるのは、抹茶を少し入れた生クリーム。和三蜜糖に合うかと思ったの。で、目につく柑橘類は先日イオンで半額になっていたレモン(なんとか不使用。なんとかは思い出せない)のべっこう飴絡め。これは美味しかった。イチゴ、よくわかんない。ミントは窓際栽培のがもうあまりないので、堤防から収穫してきたばかりのやつ。なにミントだろう? 生クリームは、、、 確かタカナシ。紙パックを確認するの面倒くさい。

途中でちょっと涙出てきちゃった。ふぅ。

でさ、4分の1ずつ食べて「これでクリスマスとしますか」って言ったら、「ふふふふ~~~~。」って。「わたしの誕生日、覚えてる?」

「え? いつ?」

「ふふふふ。」嬉しそうに笑った。

「・・・・」

「ね。」真剣な顔。「また連絡する。次は10年はあけないよ。3年もあけないと思う。もしどちらかが結婚してたら、、」

「かまわない」

「それから、さっきのアドレスは・・・」

「もう解約したでしょ」

「うん」

「・・・」

「またね」

++++++++

ここにも登場してた。

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