逃亡(11月1日18:24 手直し)

タブレットを手にした司令代理が額に汗をにじませ部屋に入ってきた。
「大佐! 第二隊副隊長agiが裏切った模様です」
「何をした?」
「南半球第六拠点の場所を他言したとの情報が」
「そいつは消せ。副隊長はどうせ監獄だ。端末を誰が与えた? 許可した覚えはない」
「3時間前の第二隊副隊長agiのGPS座標は確実に硫黄島監獄でしたが、現在、信じられないことに本州潜入を許した模様です」
「それも場所はわかるだろ!」
「この11分間、動きがありません」
「タグを外したと言いたいのか」
「信じられませんが」
「どこに埋めてた?」
「延髄です」
「既に取り出せる技術者は存在しないはずだぞ。あいつはagiの健全状態を見届けて通過列車に身を投げたと聞いた」
「大佐・・・」防衛司令代理は唾を飲んだ。「相手はagiですよ」
「それがどうした? あいつでも人間だ。できることとできないことがある。今回のことは不可能だ」
「今、技術者はっしぃを調べておりますが・・・、わかったことが幾つかあります」
「言え」
「はっしぃは、小型機集団自殺後に祖父の元に預けられましたが、まもなく手放され、西沢山に」
「ん!? 羅術か! しかしそれがどうした?」
「agiの育ちは西沢山の麓でして、通っていたという情報がありました」
「健全者や両親がいては通えんと聞いている」
「当時の正確なデータを入手することは今さらできませんが、小学校入学直後に何か事件を起こしているようで、特殊な診察を受けているという記録が・・・、つい先程届きました」
「小学生のガキが何をした?」
「わかりません。しかし羅術を身につけており、はっしぃとも時期が被っております。大佐は西沢山をどこまで把握なさっておりますか? agiがあそこの出身だとわかった今、特殊任務行動隊全十二隊第三隊長以上全員があそこの出身だということです。南北朝時代終焉後、事実上、日本国は羅術の連中に守られてきました」
「しかしなぜagiだけは西沢出身ではないと判断してきた?」
「それはおわかりでしょう? 家族がいたからです。我々は無警戒過ぎました」
「くそっ! はっしぃは? あいつはなぜ生きているのだ? はっしぃの遺体のDNAと登録DNAは一致して死亡と判断されたはずだ」
「自死と見られた行為の3ヶ月前に、データサーバが4分間ダウンしていた模様です」
「あいつらに4分で何ができる?」

「想像が及びません」

「・・・。この3年間、何をしてきた? 特殊任務行動隊が危険過ぎると知りながら事実上何も手を付けられずに来たというのか」
「そしてはっしぃの両親らの死は、我々が作り出した経済システムの犠牲者と思われても・・・」
「いや、あいつらは確信しているのだろう? 特任隊が我々の配下でありながら、振り回されているではないか」タバコをくわえ、震える指先でマッチをつまみ火をつけた。「誰に情報を漏洩したかが重要だ。今回の件に関わったもの全員を拘束、無理なら殺せ」
「どの部隊がその命令を実行できますか? それに情報が誰に漏れたのかがつかめていないのです」
「なんだと?」
「周到に計画された可能性があります。はっしぃが死んでなかったということから考えると数年前から計画が進行していたとしか考えられません」
「硫黄島からか」
「いえ、今入った情報によりますと、約12時間前に関越道で撮影された防犯カメラに、はっしぃらしき姿が。そして数分前に新潟空港に強行着陸があった模様で」
「なに? 飛ばすなよ!!」
「それが・・・、並走した車から女性二人が移り、既に消息がつかめていないと」
「映像があるだろ! ここに映せ!」
「はい。しかし前もってお伝えしておきます」
「・・・」
「機体は明らかに・・、特殊任務行動隊第一隊所有のものです」
「反逆だと? 環太平洋新政府への忠誠はどこへいった・・・」
「無かったのでしょう。はじめから。第一隊隊長、西沢由紀には」
「にしざわ?」
「それが本名のようです。あそこの、姫、ですかね」
「姫とはどういうことだ? ふざけているのか?」
「南朝の終わりをご存知で?」
「歴史は途絶えさせたはずだぞ!」
「あいつらは受け継いだのです。南朝が福島の霊山(りょうぜん)で途絶えたことを知っているのです。北の叡山とされた霊山の三千の房が北朝によって燃やし尽くされたことを。西沢由紀はもしかして、血を受け継いでいるのでは?」
「標的は新政府か」
「それでは曖昧です。およそ、歴史を作りし者どもなのでは?」


無理があるな。でもとりあえず、おわり。眠い。


参考。全然繋がっていませんが。これらから何か要素を抽出できればなー。

眠れなかったから、物語でも紡ぎますかhttps://note.mu/agi/n/nbf1380c75731

レベル3 はっしぃ
https://note.mu/agi/n/n3b35f51c2893

革命教育。清い闇のひび割れ。(再掲)https://note.mu/agi/n/n0eb6e2bcfe6f

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