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農家になろうと思ったきっかけ 1

 農家になろうと思ったきっかけは沢山ありますが、そのうちの一つを紹介しようと思います。
 高校を卒業後東北大学農学部に入学した私は当初、研究者になりたいと漠然と思っていました。高校生の時に参加したJICAが主催する青年海外協力隊の体験プログラムで世界の飢餓・貧困の状況を知り、その課題を解決するための方法として食糧の増産があると考え、大学では農学を専攻し食糧増産に向けた研究をしようと考えました。・・・というか、私はAOⅡ期という自己推薦入試を受験したためもっともらしい志望動機として考えました。本当のところは、そこまで強く研究者を志望していたわけではありませんでいた。ただ、高校でめちゃくちゃ面白い授業をする生物の教員との出会いがあり、生物には強い興味がありました。
 「研究者になろう」と思って大学に入ったものの、その夢は入学してから数ヶ月で頓挫しました。東北大学では学部1年時に「基礎ゼミ」というゼミ形式の授業があり、現役の教員や名誉教授などの講義を受けることができます。そこで私は農学部の教授がオムニバスで講義する授業を履修したのですが、その授業の内容が学部1年には全くといっていいほど難しい専門的内容でした。私はその内容の難しさに圧倒されてしまい、こんな難しい内容を理解するのは厳しいと直感的に感じたのでした。
 入学早々に研究者になることを将来の選択肢から除いた私は、農学を極めるのが難しいのであれば、農業の現場にいこうと考え学部1年の夏休みに山形県が主催する移住プログラムに参加し農業の現場を見に行くことにしました。山形県の朝日町・大江町でそれぞれ農家を訪問し簡単な農作業をしたのですが、それが私にとって初めての現場での経験でした。普段大学での講義は農業経済学などの分野で日本の農業の実態を統計的に理解する機会はありましたが、実際に現場を訪れることはなかっただけに、非常に刺激的な経験でした。朝日町ではリンゴ農家で体験をしたのですが、果実全体を均一に着色させるために果実を回す”玉回し”や葉で被覆されている果実の着色を促す目的で行われる摘葉など、農業の現場には沢山の知恵が詰まっていることを知りました。しかもそれぞれの作業に意味があり、農学部で学んだ知識を組み合わせて、突き詰めて考えるとその作業の植物生理学的な背景を理解することができることが、何よりも面白く感じられました。
 山形県の移住プログラムの参加を機に、私は大学で学ぶ“農学”ではなく現場での”農業”に興味を持つようになりました。

 この山形県の移住プログラムで大江町に行った後、大学のある仙台に戻りボランティアをしたのですが、その時にまた”農業”に惹かれる出来事がありました。

最後に私が参加した山形県の移住プログラムを紹介します。最近は開催されているのかは分かりませんが、やまがたCAMPというイベントです。


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