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農学部は「農」を学んでいるか

 みなさんは「農学部」と聞いて何を思い浮かべますか?

コメント 2020-04-13 162603

一般的な農学部に対するイメージ


 私が初対面の人に対して農学部に所属していることを伝えると、返ってくる反応が人それぞれで面白いです。
「農家になるんですね!」(卒業生に数人いるかいないか。)
「畑を耕しているんですね!」(去年農場には一度も行かなかった。)
「楽しそう!」(これは正しい。)

 こんな感じの反応が一般的ですけど、たまには・・・・・・・・・
「“脳“科学を専攻しているなんて凄い!」(昨年までは分子生物学分野の教授が脳科学に近い研究をされていました。)
なんて驚かれることもあります。

 この様に人によって反応は様々ですが、大抵の人は「実際の農学部」を知らないのではないでしょうか。
 農学部=農学を勉強している
この様なイメージが強いように思います。

農学部の実際

 私は農学部に所属し日々講義を受けていますが、「農学を勉強している」と思った機会は殆どありません。講義の中で農学・農業といったフレーズは使用されませんし、まして農場に行く機会もありません。学科・コースにもよりますが、「農業」はあくまで学びの入り口にしか過ぎず、基本的は生命科学が学びの中心であるように思えます。

 ちなみに本当の「農業」を学ぶのは農学部ではなく農業高校、農業大学校です。農学部では現場に出ることはまずなく、基本的に大学で講義を受けます。つまり現在の農学部は現場と切り離された存在であると考えてよいと思います。

農学とはどのような学問か

 農学について考える上で2つの例を挙げます。
 ①そもそも農業従事者を指す「百姓」とは
“百(たくさん)の姓(職業)を持つ者”(様々な分野の知識を有した者)
という意味でした。


 ②また私が所属している農学部の教育目標は以下のように定められています。


食料、健康、環境に関する広範な知識と技術を理解・習得し、豊かな農学的思考を基礎にして、資源生物の生産と活用、食料の生産と健康増進、生物遺伝資源の保護、環境の保全修復に貢献できる指導的・中核的人材を養成する。」     

 つまり農学と一言で言っても実際には様々な分野の総称であると言えます。
 よって農学部では「“農学を学んでいる“」とも言えるし「”生命科学を学んでいる“」とも言えます。
 言い換えれば「農学部は研究対象が幅広いため、全体で見たときに「農学」という名称がついても、個々の研究内容には別の名称がつく。」ということです。

結論

この文章のタイトルに戻ると
“農学部は「農」を学んでいるか“

農学部のどこを見るかによってこの問いの答えは変ってきます。



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