ルカの場合


スマホのアルバムを意味もなく
スクロールし続けた夜に、

LINEのスクショをみつけた。

愚かなわたしは
削除しようと話しあった
LINEを撮っておいた。

残しておきたかったから。
こっそりと、見返したかったから。
見返したいときが、
きっと来るだろうと思ったから。

ほらね。
今夜みたいな日に
やっぱり必要だったでしょう。

愚かなわたしは
何年経っても変わらない。

「大好きだよ」
は、覚えていたけど

「死んだら一緒になろう」
は、記憶になかった。


いま、どうしているだろう。
目まぐるしい日々の中で、
わたしに送った言葉を
覚えているのだろうか。

愚かなわたしは
いま、こっそりと振り返って
しみじみとドキドキしている。

きっと、いま会えたなら、
許してしまう。

あの時許さなかったことを
超えて、
すべて、
許してしまう。

やりすごせ。
ただのセンチメンタルな夜の
ただの、ただの思い出だから。

ふたをしろ。

大切にしてかまわない。
わたしひとりで愛でていればいい。

けっしてふたりのものにしようと
してはいけないよ。

愚かなわたしが
がんばっている、夜。

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