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光の邑の住民たち 9

柚木さんに誘われたキャンプ先は、長野県のとある場所でした。標高は1100mあります。かつては、街道が通っており賑やかな宿場町だったそうです。その後、新しく国道が開通され街道の人通りは絶えました。そして、その宿場も廃れ住民は離れていき廃村となったそうです。しかし、その歴史ある宿場を文化財として残そうという市民の働きにより、古い集落のまま宿泊施設として、民家に泊まれるようになっているそうです。タイムスリップしたような村で、柚木さんの友達と一緒にキャンプをしようというお誘いだったのです。

柚木さんの友達という方々は、もう以前の仕事から離れ、それぞれが思い思いの日常を過ごしておられるそうです。なかには、以前より独自の収入源を確保しながら、社会活動等に携わっておられる方もいるようです。どんな人たちが集まるのか、楽しみとわずかな不安が混ざった期待で、僕と妻の雅子は参加することになりました。雅子は、依然地元の病院に勤めていましたが、解放の日以後、医療に携わりたいという希望者がたくさん集まり、病院の人手は十分に賄えていました。そういうわけで、雅子も容易に休暇を得られ、1週間のキャンプ生活へと向かうことになったのでした。

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