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親の皆さんに伝えたいことと母子関係

一般的に見て私は母と仲が悪い方ではありません。けれど、私は母のことを尊敬もしていなければ、あまり好きでもありません。

幼稚園の頃は母のことを神様だと思っていました。すごく優しかったからです。怒られた記憶は全くありません。私が大人しい性格だったからというのもあったのでしょう。手のかかる子供ではなかったと思います。そんな私にも「誰も助けてくれない、自分で頑張るしかない。」と思った出来事があります。

私は先天性の障害をいくつか持って産まれてきました。その中の一つに先天性側弯症というものがあります。(後天性だと成長期に起こりやすい、背骨が湾曲する病気です。)その病気の手術を小学1年生の頃から毎年毎年やっていました。4、5年生くらいのときだと思います。事件は起きました。その手術は全身麻酔で行われ、気管に管を入れます。そのせいで、麻酔から覚めた後も声が出せないのです。目が覚めると母親が座っていて、何か尋ねてきました。私は声が出せないので黙っていると、「返事ぐらい出来ないの?」と怒り口調で言われ、イライラし始めました。それまでにも母はよく分からないところで怒っていたし、自身の気分に左右される人なのでこのようなことを言っても変ではないのですが、その時、私の中で何かが崩れ、扉が閉まりました。

小学生になってからも母を大好きな気持ちに変わりはありませんでした。優しくて、なんでも出来る人だと思っていました。家事も全部一人でやっていたし、入院する時には好きな本を買ってくれ、私が落ち込んでいる時は励ましの言葉をかけてくれました。大切に育てられている実感は子供ながらにもありました。なので、理不尽に怒られた時も「きっと私が何か悪いことをしたんだ。何が悪かったんだろう」と思っていました。(今思うと確実に八つ当たりです)けれど、「返事くらいできないの?」この一言で母に対して悲しみと怒り、そして諦めの気持ちが芽生えたのです。今思えばこの一言が引き金になっただけなのかもしれません。今まで多くのことを知らず知らずの内に我慢してきたことが爆発して、負の感情がようやく芽生えただけかも。手術の後で疲れきり、目が覚めても頭が完全に回らず、そっとしておいてほしい、何も考えたくないときに責められるような言葉を言われてようやく母が神様ではないことを分からされました。

怒られた時、何も言わない子供でした。言い訳もしなければ、泣きもせず、弁解もしませんでした。ただ、わからなかったのです。何がそこまで母を怒らせているのか。そして、恐ろしさと大人の全能感を感じており、脳死したまま黙ってずっと立ち竦んでいました。言い訳をする暇を与えない頭ごなしの怒り方だったというのも私が言いたいことを言えない子供にした要因なのかもしれません。

その件があって、私は誰も助けてくれないし、自分が頑張るしかないと知り、誰にも悩みごとを相談しなくなり、自分に言い訳をしなくなり、誰も信頼しなくなりました。そして母親から理不尽なことで怒られても何も感じなくなりました。具体的に言うと、何もしていないのに、夜に家の外に放り出されても「友達の家かおばあちゃん家いくか~」としか思わなくなりました。

私は今大学生ですが、仕送りもしてもらい、十分なお金をかけて育ててもらったと思っています。育ててもらったことには本当に感謝しています。けれど、私は親を「大きな子供」だと思っています。自分に不都合なことがあると叫び、機嫌が悪い時には子供に八つ当たりし、人の目は気にするのに、子供の気持ちは考えない。そういう親です。(父親のことは書いていませんが、母親とはまた違ったやばさがあるのでまた別の機会に書きます)

全国の親のみなさん、子供の主張を聞いてあげてください。怒る前に、どうしてこんなことをしたのか。そして、できれば怒鳴らないであげてください。優しく怒れとは言いませんが、叫んだり、威圧するのはやめてあげてください。子供が萎縮して言いたいことが言えない子供になってしまいます。私の親のように子供に八つ当たりをする家庭はそんなに多くはないと思いますが、知らず知らずの内に子供に悲しい思いをさせていることもあると思います。親も親でとても大変なのは重々分かっています。けれど、子供にとって親はあなたたち2人しかいません。そして1番信頼できる存在なのです。どうか、子供と向き合ってあげてください。まだ社会の厳しさを全く分かっていない餓鬼ですが、あなたたちのような立派な大人になれるように精進していきます。


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