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格差を超えるために必要なのは“あり方”である

27歳独身。彼女なし。そこそこの大学を出て、つぶしの効かない仕事をしている僕が、紳士から教わったのは、まったく聞いたこともない新しい成功法則だった――。「学び方を学べ」「才能は幻想。すべては技術だ」「必要なことはすべて調達できる」「日本を解散せよ」……、5年前に刊行され「今こそ読むべき!」と話題の書籍を特別に無料で公開。事業家・思想家の山口揚平さんが、新しい時代の新しい成功ルールを紹介します。


日本はあと10年で階層化する


「さて、君はすでに、この国の未来に悲観はしなくなった」

「はい。だいぶ希望が湧いてきました」

「これは、昨日話した『計画・実行・修正』の計画だよ。計画は何も、パソコンで作ることだけではない。未来に思いを馳せ、希望を探す行為だって、大事な計画の1つだ」

「なるほど」

「さて、ここからは、きっと君が気になる話をしよう。君の所屬するコミュニティは世界まで広がっていく」

「どういうことですか?」

「21世紀のコミュニティは土地に縛られない。むしろ考え方や価値観、教養といった個人の内的な傾向で形成されてくるだろう。そしてじわじわと階層化されていく」

「階層……」

「君達のような若い人達が、特に敏感なワード“格差”が生じるんだよ」

「格差社会。確かに、学生時代は、勝ち組だ負け組だって、自分達でプレッシャーをかけてる感じはありましたね」

「昨日の結婚式だってそうだ。君の同級生との再会。お互い密かに牽制し合い、自分は負けてないということをアピールしていたはずだ。でも、それが嫌で君は時計を外しているんだろう」

「はい。あなたから見て、今この国での格差社会って、どこまで進んでいると思いますか?」

「かなり進んでいるね。君は気づいていないかもしれないが」

 僕はがっかりした。

「戦後は民主主義の名のもとに皆中流家庭となっていたが、これからはどんどんと階層が分かれ、階層間の断絶は強くなってくるだろう。今、君達が感じているのは、どんな格差かな」

「一番大きいのは、都会と田舎といった、地域での格差程度でしょうか」

「今後は、地域だけでなく、社会の階層までも分かれてくる」

「社会の階層化かぁ……あまりピンとこないなぁ」

「そうか? 考えてごらん。今も、そこらへんにゴロゴロしているよ。東大に行った人はそのまま官公庁などに入って、その派閥で仕事を得る。有名な私立大学で、付属の高校からそのまま入った人などは、そのコミュニティが強固だから、意外とラクに出世できていたりする。君の会社でも、よく上司達が、入って来る新人の大学のことを話している時ないかい?」

「あ、あります! まず出身校を聞きます」

「コミュニティと階層が一致する部分はあるんだ」

分かれつつある「5つの階層」


「今後、その階層は、大きく5つに分かれるだろう」

「5つですか……」

「地球市民層、都市上位層、都市下位層、地方層、非社会階層だ。すでに地球市民となっている人物、わかるかい?」

「地球市民……」

「日本はもちろん世界を魅了する能力と才能、そして努力と頭脳を持ち、輝かしい実績もある人物」

「誰だろう……」

「たとえば、イチローだ」

「あぁ、なるほど!」

「地球市民はもはや国や地域を選ばない。自由に移動するだろう。時間と空間を意識しないで暮らしている」

「そうですね! ほかの層はどういうふうになっているのですか?」

「たとえば、都市上位なら上場企業であったり、部課長など役職についているクラス、都市下位は、伸び悩んでいる中小企業、地方層は君の田舎の両親が住んでいる地域のことを思い出してもらえばいいんじゃないかな」

図2-2 別添 「休みの日はイオンモールに出かけたり、町ぐるみでお祭りの係が割り振られたり、そんなところでしょうか?」

「イオンは聖地らしいからね。駐車場の広さがその地域のイオンの力だと思っていい」

「その階層はなにで分けられるんでしょうか?」

「学歴・職歴・資産・収入・教養・容姿・品位などによって分かれてくる」

「結構えぐいですね……」

「そうだね。戦後液状化したヒエラルキーが復活する。君がやるべきはその階層化が決定する前に所屬する層を決めることだ」

階層を超えるために今からやるべきこと


「僕はどこにいるんだろう……」

「若者の70%以上、多くの人が、都市下位と、地方層の間にいる」

「僕は都市上位や地球市民を目指したいです」

「それなら、スキルでなく、あり方を磨かなければならない。つまり品位や教養、人間としての成熟だ。回り道をしている暇はない」

「なんだか自信がないな」

「そう難しい問題じゃない。今から大学院や海外留学を目指すこともできるし、転職もできるだろう。資産や収入は働き方を変えればできることだ。教養・容姿・品位も、今からでも意識して磨ける。自分が尊敬する人をモデルとして考え方やふるまい方をマネをしたり、教養を学んだり、本を読んだり。見た目だって磨ける。学ぶ技術さえ身につけていれば、なんでも学べるんだ」

「でも、階層化が進むと、もっと大変なことになりますよね」

「そうでもない。階層化はある意味、社会に安定をもたらすだろう」

「安定ですか!?」

「ヨーロッパはすでに階層が固定化されている。ドイツなら中学くらいには人生のパターンが決まるし、英国では生まれた時からほぼ人生のルートは確定している。もちろん例外もあるよ。ベッカムやビートルズのようなね。それに比べれば日本はまだ上位階層に行くチャンスが残されているともいえる」

「僕もベッカムみたいになれますかね」

「ただしあと10年以内に階層の蓋は閉じるだろう」

「あぁ、不安になってきた……」

「上に行くなら今だよ。すでに階層化は始まっている」

「でも、今からで大丈夫なのでしょうか? もう就職のときから、大学によってランクづけされている気がします」

「学生のランクづけは、大手の就職支援会社のマニュアルではたった3つの視点で行なわれている」

「3つ!?」

「彼らは学生に会って30分で、それを評価する。何だと思う?」

「そうですねぇ……論理力やコミュニケーション力とかですか?」

彼は首を振った。

「柔軟性、言語化能力、品格と教養だ」

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