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年収700万円が幸福のピーク

27歳独身。彼女なし。そこそこの大学を出て、つぶしの効かない仕事をしている僕が、紳士から教わったのは、まったく聞いたこともない新しい成功法則だった――。「学び方を学べ」「才能は幻想。すべては技術だ」「必要なことはすべて調達できる」「日本を解散せよ」……、5年前に刊行され「今こそ読むべき!」と話題の書籍を特別に無料で公開。事業家・思想家の山口揚平さんが、新しい時代の新しい成功ルールを紹介します。


幸福のピークは年収700万円


「確かに、機械にはそれができませんよね」

「もし21世紀の人権が単なる肉体的生存を保障するものではなく、個々人の社会的存在を保障するものまで拡大するならば、コモディティの流通に適したタテ社会よりも、お互いの思いと個人の信頼関係をベースにしたヨコ社会のほうが適しているということさ。これが変化の本質さ」

「ちょっと難しくなってきましたけど、食べ物に困らない社会になったのなら、今後はヨコ社会で承認を得て、つながりながら生きるほうがいいってことですかね」

 紳士は間をおいて言った。

「豊かさとは何かな?」

「余裕……とかですか?」

「そうだね。では、幸福とは何か?」

「何だろう……」

「幸福とは一体性だ。お金の量じゃない。お金で地位は買えるが尊敬は買えない。お金の時代じゃないんだ

「お金の時代じゃない……」

「経済学者がすでに実証しているように、幸福のピークは年収700万円で、それはどこの国でも共通さ。それ以上は稼ぎよりもストレスのほうが大きくなる」

「結婚式で会った同級生に、小さな会社の社長がいたんですけど、同じようなことを言ってました。まぁ、そいつは明らかにお金を持ってることをひけらかしていた。あまり気分のいい人間ではありませんでしたが……」

「お金は便利な言葉だけど、あくまでも匿名の数字にすぎない。お金は、言葉にできない価値を数字に換えてしまうものだからね。数字は思いを載せられない。確かにお金があれば、様々なものを手に入れたり、海外にも行ける。こんなふうに、数字は3次元(時空間)を自由に動き回る力を持っているけれど、その次元を超えることはできないんだ」

「あなたは、僕が見る限り、お金持ちのように思います」

「否定はしない」

「でも、あなたは嫌な気がしない」

「お金ができることに、たいして期待していないからだろうね」

「お金にできること?」

「せいぜい移動にタクシーを使うか、飛行機のビジネスクラスに乗るくらいだよ、あとは少し大きな家に住んで、心地よい家具に囲まれているか……。でもたくさんはない。本当に素敵なものだけだ。家も大きすぎない。それは下品なことだしね。お金ができることはそれぐらいだよ。お金は時間と空間を買うための道具としてのみ使っているよ。あとは、社会的価値のある事業への投資に使う」

「その思想が、きっとあなたの雰囲気を作り出しているんですね」

「大事なのは心、特に意識の焦点の問題のほうが大きい。焦点を変えなければ、そもそも問題を解決することはできないからね。そして矛盾に聞こえるかもしれないが、もしお金が欲しいなら、お金を配らないとね」

「お金を配る!?」

人生は与えたものを受けとるようにできている。財務諸表のバランスシート(貸借対照表)のようなものだ。貸借が合う」

「それは経験談ですか?」

「そうだね」

「わかるような気がしますが……今の自分にはできないなぁ……」

「それでいい、問題ない」

「いいですか!?」

「あぁ、かまわない。いいかい? これから来るヨコ社会は、相互扶助の仕組みであり、それぞれの社会的欲求(承認欲求・つながり欲求)を満たすことに適している」

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「私は以前、ある選挙を手伝ったことがある」

「選挙ですか?」

「友人が立候補してね。私はブレーンをした。本来選挙において公約というのは、自分達で社会に今何が必要かを考えて作るものだ」

「選挙のたびに同じようなマニフェストが並んで、うんざりしますよね」

「しかし、我々は違った。インターネット上で市井の声を4万8000件以上拾い上げ、それを形にしていった」

「民意を吸い上げたんですね」

「そうだ」

「その選挙はどうなったんですか?」

「いい線まではいったが、残念ながら当選はしなかった。しかし、こういう形で政策を作ることができて、それが支持されるということがわかった。誰もが主体的に、社会に参画する方法はできるはずだと思ったよ」

「素敵だなぁ」

「ぜひ君には、その社会で生きて欲しいな」

「はい! それにはどんなことに気をつければよいのでしょうか?」

ヨコ社会では、「信頼残高」を増やすこと


「まずは、自分の信頼残高を増やすことだ」

「信頼残高……」

「信頼を得られればつながりも増える。私は、資産は必ずしもキャッシュ(お金)だけではないと思っている。スキルがあればお金に換えられるし(マネタイズ)、信用があればお金を調達すること(キャピタライズ)ができる。ヨコ社会では、『つながり』が資産だ。それを増やすには、信頼残高が多いほうがいい。実際に価値交換における貨幣のシェアというのは、2015年を境に減ってきているんだよ」

「なるほど。ほかには?」

「ヨコ社会では自分がよりオープンでいることが大事だ。そこで考えられるのは、“さらす”勇気かな」

「さらす勇気ですか……」

「自分の黒歴史もコンプレックスも、自分のカレンダー(予定)も何もかも」

「ひかれないかな……」

「ひく人もいるだろう。でも、そういう人は、自ずと自分の前から去って行く人にすぎない。本当の君を理解し、受け入れてくれる人間だけが残る。そういう人とのつながりは、君にとって非常に大きな財産となるだろう」

「そういえば、僕はあなたに結構さらしていますね。というか、言い当ててくださいましたが(笑)」

「そうだね。でも私はこれっぽっちもひいていないだろう」

「ありがとうございます!」

「まだあるぞ。他者を評価したり、ブロックしないこと。プロセスをオープンにすること。それから摩擦が多くなるから、できるだけ人と交渉しないことだ」

「交渉しない……」

「そして、価値連鎖を信じること。与えたものは、別の角度から還ってくる、という認識を持つこと。Give&Givenだね」

「Takeじゃないんですね」

「そうだ。新しい経済では、与えた人から受け取るケースがどんどん減ってくる。与えたという行為がトラッキングされ、それが第三者に見えるようになる。それもウェブを中心にね。すると、与えた相手とは別の方向から、今度は自分に与えられるようになるんだ。まるで、三角貿易のようにね」

「ほかにもありますか?」

「あとで詳しく話すが、他人との距離感をマネジメントすること。これは特に男女のパートナーシップで大切なことだ」

「あとは、どんな場合でも、相手に対して自分の責任範囲をコミットメント(宣誓)すること。そして、すべての人をリスペクト(尊敬)する。上下関係や所得で評価し ないことだ。これはタテ社会には見られないよね」

「そうですね!」

「コミュニティのポートフォリオ」を持つ


「こうしたヨコ社会は、ボランティア・地域・スタートアップベンチャーなどに多く見られる。だから、会社以外のボランティアなどの活動に参加するといいね。会社以外の活動で得た体験が別のところで生きることもあるし、今後は自分がどんなコミュニティに入っているのか(コミュニティのポートフォリオ)、を意識していったほうがよいと思う」

「それは小さなものでもいいのですか?」

「もちろんだ。今はどんな小さなコミュニティに入っていたとしても、グローバルにつながることができる。この両方を意識しておく必要があるんだよ」

「逆に聞きたいのですが、ヨコ社会の弱点はありますか?」

「そうだなぁ……。同情を引き寄せるような弱さが、逆に権力を持つことがある」

「弱さですか……」

「共産主義の失敗でもあるが、本当の弱者は守るべきだが、不幸を盾に相手を支配しようとする人がいるから気をつけるべきだ。また、ヨコ社会では『ハブ』になる人が圧倒的な強さを持ってしまうことも弱点といえる」

「IT業界が一人勝ちをするようなものですか?」

「つながりが多いものほど強さを持つのかもしれない。でも、ヨコ社会の周辺で起こる摩擦こそが、イノベーションを起こすことも覚えておいて欲しい。タテ社会はオペレーション(管理)で動いていた。ヨコ社会では、様々な人が自由につながる。そこでこそ、イノベーションは起こりやすいはずだ!」

「それはわかる気がします! 人の脳の神経細胞も、様々な神経細胞と横のつながりがあるから、こんな複雑な回路ができていると聞きました。イノベーションは周辺で起こるのですね」

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