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平成に存在した女子寮の話#6-携帯電話について

私が20年前に過ごしたH寮。当時、寮内の携帯電話所持率は9割で、みんながパカパカと呼んでいたガラケーだった。ただ、非常に電波環境が悪く、いつもみんな見えない電波を探し歩いていた。

ちなみにキャンパス内に寮は5つあって、それぞれどの寮に入るかは自分で決められず、入寮してみてのお楽しみ。H寮はその中でも1番キャンパスの奥の山側にあって、おそらく電波問題で悩んでいたのはH寮生だけだと思われる。

そんなわけで、H寮生はいつも電波を探していた。4階の窓際が1番電波が入りやすいので、みんな携帯のアンテナを立てて、手を高く掲げて携帯を振っていた。カルト集団のように携帯を振りながら歩き回る女子大生たち。この絵面が頭に思い浮かぶのは何歳以上の方々なんだろうか。今の20代はガラケーにアンテナが付いてたの知らない??しかも、振ったら電波が入るというのはデマらしい。はい、薄々当時から気付いてました。

また、いつまでも4階で携帯を振ってばかりもいられないので、部屋の窓の淵に4台並べて置いてたな。やっぱり窓際が1番電波があったのだ。それと、22時過ぎにどうしても彼氏と電話したくて、窓から手を出して電波を探してた子が、セコム鳴らして叱られてた。

まあ、全然電波が入らないわけじゃなく、途切れることがあっても通話はできた。でも、4人部屋なので同室の子に気を使うし、彼氏との会話なんか聞かれたくない。だから、4階の窓際付近でハッピーオーラを出しながらコソコソ電話してる先輩や同級生たち。たまに、修羅場的な会話が聞こえてきてハラハラしたり。本当にプライベート皆無だったのだ。

この状況を逆手にとって、活用してたことがある。鉄壁の門限と同じく、寮生(しかも、H寮に限る)の必殺技「あ〜、すみません!私寮生なので電波入らなくて〜」。都合の良い人だけ繋がる不思議な場所だった。

今は四六時中スマホ。なんでもすぐ検索、インスタにFacebook、なんならnoteもスマホで書いていたりする。たまに、デジタルデトックスが必要だなと感じる。ただ、当時世間から切り離されたようで、インターネットの世界にハマっていた私。寮の4階には8台くらい?のパソコンが置いてあって、24時間使用できた。当時は一人暮らしの部屋にインターネットを引くのはハードルが高かったので、数少ない寮生のメリットだったな。そこで、自作のサイトを更新するのに、自分の部屋でせっせとメモ帳にHTMLをタグ打ちして、アップロードだけ4階のパソコンで、なんて涙ぐましいことをしていたのだ。

ふと気になって、当時の自分のサイトがどうなったか検索してみたら、Yahooジオシティーズ終了とともに消滅してた。今読み返すと身悶えそうなのでよかった、よかった!ただ、当時流行っていた〇〇好きに100の質問、みたいなのを自作配布してて、それに答えてくれた人たちの記事が今でもひっかかる。懐かしすぎる。

坂の上にあるキャンパスの最奥にあるH寮から1番近くのコンビニまで歩いて15分。坂の下に降りることを下界に降りると言っていた。電波も途切れがちで、世間と切り離されてるようで、寮内では濃密なコミュニティが形成され、意外とネットを使いこなしていたあの頃。そういえばmixiやってたなぁ。今思えば世間やネットとの良い感じの距離感だったように思う。

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