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平成に存在した女子寮の話♯3-女子大生のお風呂事情

20年前に私が住んでいたH寮。

お風呂のルールも厳しかった。今考えてもあり得ない。浴場が使えるのは17:00~21:50。銭湯のような浴場で、シャワーが10箇所くらいだっただろうか。個室シャワーはない。基本的にシャワーで体を洗った後でないと、浴槽に浸かってはいけないというルールだった。なので、外出先から帰ってくる21:00代は込み合う込み合う。100人以上の寮生がいるのにシャワーが10箇所くらいしかないのだから、洗面器を抱えた女子大生が浴場の入口あたりで真っ裸で順番待ちをするのだ。もう毎日のことなので、タオルで体を隠す人なんていない。よく、先にお風呂に行ってきた友達に「今裸族何人?」とか「今ケツ族何人?」「5人」みたいな会話がなされていた。

こんな事情なので、浴場内での洗髪は禁止。そう、この期間私はお風呂で髪を洗ったことがなかった。では、どこで洗うのかというと、寮には洗面台にシャワーヘッドが完備されていて、大きめのザルが積んである。寮生は毎日朝シャンよろしく洗面台にザルを置いて、腰をかがめて髪を洗うのだ。今考えても凄い世界だな。髪の毛で排水溝が詰まるから、ザルの上で洗髪。

そして、門限の22時以降はボイラーが切られるので、そこからお風呂に入ることはできない。

もう何が何でも21:30には寮に帰ってこれるように頑張った。そして、21:30~は激コミタイムなので、逸る気持ちを抑えて真っ裸で順番待ちをし、せめてシャワーだけでも浴びて巡寮に間に合わせる。

こんなお風呂事情だったので、寮生とはまさに裸の付き合い。恥じらいもなにもあったもんじゃない世界。誰が激やせしたとか、太ったとか、キスマークがついてたとか、見てないようでみーんな見てる。「あのやせ方は尋常じゃない。彼氏に振られてショックで拒食症らしいよ」とか「太ってる人ってみんな胸がでかいわけじゃないのね」とか、大きなお世話や!!!っていうことをコソコソいう人もいた。まれに、本人に聞こえるように言う人もいた。私も「Aカップより小さいカップってあるのね」くらいのことは言われていた気がする。

でも、あんまりゆっくり浸かってられなかったけど、足を伸ばせるお風呂に浸かって、別の部屋の子とおしゃべりしたりしたのは楽しかったな。うちの寮はご飯が出なかったので、「同じ釜の飯」の友人はいないけど、「裸の付き合い」の友人はたくさんいるんだな。こんな人なかなかいないよね。


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