「パリに暮らして」 第7話
――その日の夜遅く、携帯が鳴った。柊二さんからだった。仕事が片付かなくて、明日まで帰れそうにないとのことだった。
「さっきはすまなかった。せっかく来てくれたのに、本当に悪かったと思ってるよ」
柊二さんは申し訳なさそうに言った。
私は正直、何と返答していいかわからなかった。仕事が片付かないということは、無論、オーナーであるリザも一緒だということだ。仕事もだろうけれど、きっと話がこじれているに違いない。今電話で話している柊二さんの隣に彼女がいて、あの時と同じ目で彼を睨みつけ