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【長編小説】 初夏の追想

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30年の時を経てその〝別荘地〟に戻ってきた〝私〟は、その地でともに過ごした美しい少年との思い出を、ほろ苦い改悛にも似た思いで追想する。 少年の滞在する別荘で出会った人々との思い… もっと読む
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#母子

【長編小説】 初夏の追想 11

 「お母さん、楠さんは、美術史にすごく詳しいんだよ」  そのとき守弥が言った。そして、数…

【長編小説】 初夏の追想 12

 ……ここにこうしていると、私は大切な記憶や思い出が、どんどん薄れていくのを感じる。以前…

【長編小説】 初夏の追想 13

 ……心から気の合う仲間を見つけるということは、意外にも難しくて、その歳になるまで私はそ…

【長編小説】 初夏の追想 24

 その後、私は山を降りた。犬塚家の人々がそれからどうなったのかは知らない。  胃潰瘍の症…

【長編小説】 初夏の追想 28

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