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舞台「東京輪舞」の所感
東京で生きる人々の10の情事を描いた舞台「東京輪舞」を観た。生きてきた環境も趣味趣向も多様な登場人物たちを、僅か二人で演じ切るという野心的な作品だったが、まさにギラギラしていた。
情事ごとにスイッチングする役者。平面的に見えるのでは思いきや、背景の「RONDO」の文字を駆使しでセット転換の間も、背景というダンサーと絡んでいるかのように飽きることなく見ることができた。
また、背景一面に書かれた「東京」「トーキョー」「TOKYO 」の文字。インバウンドの熱気が渦巻く2024年の東京で10の情事が絡み合う感じは、まさに今この渋谷の劇場でやることに意味があるのだなと感じた。
個人的には、性的マイノリティの描写はもっと踏み込んで欲しかったし、正直、インフルエンサーについてピンと来なかったけれど、演者のふたりは体を張ってやりきっていたと思う。いや、あのテンションで3時間演じ切ったのは、マジで凄い、尊敬。
特に印象的だったのは、ラストシーン。
工事現場で働くブルーカラーと、やり手の社長の一瞬のすれ違いを、強烈なモノクロのコントラストで切り取っていた。これがパンフレットの写真でもよかったんじゃないのか。そう思うほどのインパクトだった。
大都会・東京で、数多の人と隣り合わせに生きている人々の中で、すれ違うだけの人、交わる人とに別れる差はなんなのか。
観る前は愛と欲望がテーマの話だと思っていたが、どうやら「自己解放」についての話だったようだ。求められる自分と、なりたい自分の軋轢に悩む人々が、愛と欲望で自らの欺瞞に蓋をしたり、振り切ったり。
東京には多くの人の欲望が渦巻いているが、
欲望の始まりは、ピュアでささやかな思いが発端だったりする。
ピュアなままであり続けることと、
欲望へと変化することの違いはなんなのか。
人が多いという変数が、東京輪舞のような物語を生み出してしまうのだろうか。
そんなことをつらつら考えながら地下鉄に乗っている自分も、多分東京輪舞の登場人物の一人に違いない。
こんなにもぐるぐると思いを巡らせてしまうのだから。
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