見出し画像

【詩】氷点

こんにちは、深見です。
今夜からものすごく冷えるそうで、とても嫌です。


氷点

見上げると、そこに氷点があった
それは雲に紛れて空を漂い、ときおり霜の欠片を降らせる
ひょおおる、ひょおおると鳴る風は
あれはほとんど、氷点の鳴き声だろう
(どおりで、冷える)

氷点は、あたしの頭の上に居座っている
何度か退けようと試みたが
ビニール傘じゃ届かんし
相手をするのも馬鹿らしい
今だってこっちの気も知らないで
(あるいは知っていて)
ひょおおる、ひょおおると嗤っている
(憎たらしいたらありゃしない)

襟から氷点が入ってこないよう
首元にマフラーをたぐりよせる
無駄だよって氷点が笑って
分かっているよとあたしは強がる
(無駄なことをせずにおられん性分なんよ)

氷点がしきりにキスをした
指先はとっくにかじかんでいる
あたしの吐く息は片っ端から氷点に捕まって
白いもやになってあばかれていく
(明日も気温は氷点下になるでしょう)

ああ憎たらしい


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?