マガジンのカバー画像

2022年映画感想

51
運営しているクリエイター

#ウィレム・デフォー

映画『ナイトメア・アリー』感想 歪つで奇形ではない人間など居ない

 クリーチャーは出て来ずとも、ギレルモ・デル・トロ感は満載。映画『ナイトメア・アリー』感想です。  ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説を原作として、ギレルモ・デル・トロが監督した作品。デル・トロ監督はカルト的な作風ながら、前作『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー作品賞と監督賞を獲っており、世間的にもビッグネームとなっている監督ですね。  特殊メイクで人外の者や異形の者を表現することに執着していて、『シェイプ・オブ・ウォーター』は、そのカルト的な世界観とロマン

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』感想 ウェス・アンダーソン嗜好大爆発

 今作は情報量が膨大で処理し切れていないため、作品感想よりも監督作家論になりました。映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』感想です。  「独自性」という点だけなら、世界一といっても過言ではない作家性を持つ映画監督ウェス・アンダーソンの最新作。ストップ・モーションアニメだった前作『犬ヶ島』から4年、実写映画では、『グランド・ブタペスト・ホテル』以来の6年振りの新作になります。  この監督の特徴として、執拗に整理され線対称を意識した画面作