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2022年映画感想

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2022年11月の記事一覧

映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』 ポップな刑事ものと、エグいバイオレンスの見事な両立

 デカい拳が犯罪者の顔にめり込む度に、ガッツポーズしたくなる痛快娯楽作品。映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』感想です。  2017年公開の映画『犯罪都市』のシリーズ2作目として製作された作品で、主演は当然前作から引き続き、我らがマブリーこと、マ・ドンソクが務めております。監督は前作のカン・ユンソンから、助監督を務めていたイ・サンヨンにバトンタッチしています。  前作の後、『悪人伝』やハリウッドデビューとなった『エターナルズ』など、ますます活躍を広げたマ・ドンソクで

映画『パラレル・マザーズ』感想 男性が消えた世界で生き延びる女性たち

 予想もしない結末に着地しましたが、納得感もありました。映画『パラレル・マザーズ』感想です。  『オール・アバウト・マイ・マザー』などで知られるスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の最新作。主演のペネロペ・クルスは今作でベネチア国際映画祭の最優秀女優賞、アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされるなど、高評価を得ています。  新生児の取り違えという題材は、是枝裕和監督の『そして父になる』が思い起こされます。観る前は、『そして母になる』バージョンかな、などと単純に考え

映画『RRR』感想 面白さメガ盛り定食

 超絶ハイカロリーだけど、味は確か。映画『RRR』感想です。  『バーフバリ』2部作で、インド映画が世界的なエンタメ水準にあることを知らしめたS.S.ラージャマウリ監督による最新映画。2人の主人公は、実在のインド独立運動指導者であるコムラム・ビームとアッルーリ・シータラーマ・ラージュをモデルにしているそうです。けれども、この2人は同時代の英雄ながら実際に出会った記録は無く、物語はこの2人がもし出会っていたら、という着想から生まれた完全なフィクションになっています。  『

映画『千夜、一夜』感想 ひとりの女性の人生で描く様々な閉塞感

 田中裕子さん、演技の巧さがいよいよ狂気じみてきました。映画『千夜、一夜』感想です。  ドキュメンタリー作品出身で『家路』などの劇映画でも知られている久保田直監督による映画作品。年間8万人に上る「失踪者リスト」に着想を得て制作された物語だそうです。主演の田中裕子さんは、ドラマや映画でも、とにかく存在感ある演技で、個人的には尊敬している女優さんの1人でもあるため、観なければならない作品でした。  彼の国の拉致問題、地方の閉塞感、老老介護など、社会問題が多く描かれてはいま