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7月の日記-ただ黙って聞いているだけ

7.1
京都。朝喫茶店でパンケーキを食べた。それから友達の働いてるところ行ってワイン買って、蔦屋書店行って歌集を買って、叡山電車に乗って恵文社へ行ってから魚介系のラーメンを食べた。とかく荷物が重たかった。
新幹線に乗ってから、ちょっとハイになっていて全然眠くなくて作業をしていたら、隣で岩崎くんがPCに手をかざしながら寝落ちしていた。曇り空。流石にやりすぎだと思いながらもくるりの「ばらの花」を聴く。「安心な僕らは旅に出ようぜ」

7.2
岩崎くんと作った合同誌「砂場」を発行する。電子のみの販売。短歌や随筆などを載せる。最初だから出してみて、あたりの反応とか自分の実感とかをみて調整するつもり。岩崎くんの載せてくれた言葉の温度が高く、また、写真がすこぶる良い。何かの種みたいなものがここで生まれたらいいと思う。

7.3
確信犯的にダラダラとしてしまう。梅雨すぎる。どこで買ったか忘れた(百年だったかな)永井宏の詩が100個入った本を開く。「後ろめたさが残ると、記憶は永遠に続いていくものだ」と書かれていて、そのことについて考えてみる。正確には、考えてみようとしたけれど、そうであるような気もそうでないような気もして、諦めた。

7.4
ドラマ「アンメット」の9話をみて涙を流す。ちゃんと声を上げて泣いてしまった。久しぶりに。ドラマではまず観ることのないようなたわいない会話がはじまって、その「カット忘れ?」とすら思う独特の浮遊感から、ふとしたはずみで三瓶先生が自分の心の一番深い部分のことを話す。川内先生がそれに答える。救われたのは三瓶先生のはずなのに、川内先生の方が泣いている。その構図。

7.5
呪術廻戦の最新刊めちゃよかったな……。呪術廻戦のすごいところは少年漫画に多くの人が感じる「ゾクゾク」の正体を捉えていることだと思う。わたしたちはどっちが強いかのバトルだけを楽しんでいるわけでも、まさかの伏線回収だけを楽しんでいるわけでもない。技が出る瞬間や、成長がみえる瞬間のインスピレーションの氾濫に共感と興奮を覚えるのだと思う。その感覚の研ぎ澄まされた感じ、大雑把に括られる才能とかセンスとかいう言葉の内実にある、あの「ゾーン」みたいな感覚。呪術廻戦は最初から「呪術はインスピレーションだ」という通底したテーマがある。呪術廻戦が描くインスピレーションは、様々なメタファーを持った領域を展開する。海だったりパチンコだったり裁判所であったりM-1だったり。普遍性のある「ゾクゾク」を、芥見下々は捉えている。だから呪術廻戦を読んでいる時、瞳孔をあけて興奮してしまうのだ。そこにあるインスピレーションの氾濫が、自分が何かをつくっているときに時折感じる「これは他の何でも得られやしない」という興奮を思い出させてくれる。

7.6
友達と音楽イベントに行く。その後喫茶店で1時間くらい恋愛についての悩みのようなものを聞いた。なんか変な時間だった。彼女の中では結論は出ていて、つまりわたしの役割は「聞くこと」にあることはおそらく確かだったんだけれど、でもだからと言って、わたし以外の人が聞いていては彼女の中にある「糸のほつれ」みたいなものは解消されなかったんだろう、ということがなんとなくわかった。なんだろう、誰でもいいはずの行為(「ただ黙って聞いているだけ」)を、けれどわたしが行わなくてはいけなかった、という感覚。
ブルーボトルコーヒーだったんだけど、コーヒーもだけどクッキーがめちゃ美味しかった。なんかさ、昔のスタバのクッキーの、ぬちゃっとしてる感じのやつを思い出した。あれが食べたいのにパサパサ系の個包装に変わってしまったんよな。ブルーボトルまたこよう。クッキー食べに。

7.7
仕事の関係で富士山に登る。六合目までだけど全然ちゃんと疲れた。その後東京に行く。仕事が早めに終わったので、友達とご飯を食べる。その途中、知事選の結果を見て二人してちょっと話がとまる。「ここまでの結果になってしまうのか」と最初思って、それからずんずんと沈んでいった感じ。
カラオケに行って、ホテルに帰ってから、耳をほじくったバスタオルが真っ黒になって焦った。富士山の砂にまみれたままわたしは「軋むベッドの上で優しさを持ち寄り〜」とか気持ちよく歌っていたらしい。

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