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ため息に混じる白煙が

開けたてのタバコと夜風は合わさると溶けるほど気持ちいい。
ため息に混じる白煙が闇に吸い込まれていき、みるともなく上を見あげる。
今日が言うなれば頂上だった。これから下山がはじまる。登山は下山の方が難しいという人もいる(分からない適当言ってみた)くらいで、ピークが過ぎたから収まるかって言ったらそういうわけでもなく、今しばらく「危機感が迫ってきた」状態は続いていく。溜めているメールの返信をもう少し待たせてしまうって、ここに書いても仕方がないんだけれどもね、それでも償いのように書いちゃうのは浅はかだな。
「goodbye 敵はいない
奇想天外なsidestory
聞かせてよ now is the time」
ビートにつられてひそかに揺れる身体、口先からコンビニ前のタバコはぷかぷかと浮かびあがる。
now is the timeって、「今がそのとき」ってことか、そのままだけれど。
ずっとなにかの準備をしている人生で、「なんで早く始めないの?」って声が聞こえてきそうだ。毎日はあまりにも厳然としている未熟さにおいやられて、しっかりと余白を消すworkで忙しなくなっていく。わたしは未熟、そのことに安心している。そうだとしたら、一生こんな風なのかもしれないね。now is the timeの呼び声は何重もの膜の向こう。そんな言葉を掲げるには、少なくとも今のわたしは、野生として落第な気がする。まだ夜も若さもこれからも長い、焦ることはなく、亀のあゆみでそろそろと山を超えて、でもいつかのその時に向けて、じりじりと、遠ざかるように迫っていけ。

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