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太もも位の大きさの魚

嘘みたいに外が暑い日だった。淡々と疲れすぎる仕事を終えて、夕暮れ時に帰って、すぐに布団に潜った。横になっていると体が楽で、そこから動きたくはないのだけれど、寝る気にもならなかったから「メイド・イン・アビス」の2期を観始めた。漫画で読んでいた時に嗜好性が強くって怖さが勝っていたのだけれど、アニメはうまい具合に「かわいく」されていて、未知の世界への冒険譚というワクワク感で観ることができた。

どうしても未知の場所へは、好奇心より恐怖が勝つ。わたしはわたしの弱さをたんとよく知っている。小さい頃、海を一人で泳いでいて、途端に足がつかないほど深くなる瞬間がとっても怖かった。今のわたしの太もも位の大きさの魚におびえて呼吸を粗くしていた。「ここから先は簡単に帰れないかもしれない」という場所になって、わたしはいつも元いた場所へひきかえしてしまう。

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