見出し画像

キレが良い車輪

0824~0825
会社で初めての泊まり勤務で、17時半出勤だったから朝と昼を兼ねてペペロンチーノを作った。一回め全然味しなくって、塩を結構ちゃんといれなくちゃなんだってことを学んだ。あと、ナスと豚バラを入れてるのだけれど、ナスはぶつ切りにしてしまうと火の通りが悪いということも学んだ。
結果は上々だったが、ナスを使い切ろうと思ってたくさん入れたので、麺を食べているのかナスを食べているのか分からないものになってしまった。自分で作ってなければ残しちゃったかもしれない。
あとやっぱりパスタは温度が大事で、炒め物とささっと和えて器に乗っけるまでは結構時間との戦いらしい。

泊まり勤務は中々忙しかったのと、初めてのことばかりで沢山疲れた。仮眠をとって朝までいって、正午くらいに帰ってから汗で居心地の悪い中でベッドに倒れ込んだ。漏水の点検や家財輸送が届いたりして、乾涸びた海藻みたいになりながら対応した。あっという間に夜になって、皮の伸びたYogiboのようにぐでっとねた。

0826
前の仕事場の先輩と飲んだ。先輩は仕事を丁寧にそつなくこなす模範のような人で、それでいて後輩にも手厚い菩薩のような人だったのだけれど、いや、だからというべきか、9月で転職されるということだった。
仕事場では襟のある服を着ていた彼は、待ち合わせ場所に白Tと黒の半ズボンで着て、「寝てた」と言っていて大学生みたいだった。
話を聞けば聞くほど、いなくなってしまって残念です、とか、そういう類の言葉は自分から出なくなって、その代わりに、ものを作るってどういうことか、とか、自分のフェチズムだったりとか、会社のつながりのことも忘れて、ただの人間同士、こちらから言うのは烏滸がましいけれども友人同士のような感じで話をした。
「君は軽くありたいんだろうね、兎に角」と先輩が言って、その言葉が帰り道にまでも体に残って、ハイボールの残った体で40分くらい歩いて帰った。
出来るだけ軽くありたいと思いながら、埃のように少しずつ溜まっていくものを愛らしく思ったりして、離れられなくなり、けれど突然に生理的な忌避感でそれを遠ざけてしまう。突然の裏切りのように見える行いを、わたしは何度してきたのだろう。今の生活もきっと、少しずつまた重たさを増して、やがて下向きの毎日になっていくのかもしれない。
わたしは一つの場所にとどまらず、しかし未知の場所に行くと言うわけでもなくって、遠心力のキレが良い車輪みたいに、軽快に円運動を伴いながら進んでいきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?