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堪らなくなる

実家から誰にも読まれたくないノートや手紙の類を一通り引き上げてきた。ぱっと開いたノートには自分の字の次によくみた凛々しい字面があって、堪らなくなる。なんであの時あんな、ということばかりが強烈な走馬灯のように思い出されて、それでも捨てられないノートや数々の手紙。バイト先の飲食店に内緒で行ってみた時に、わたしに店長のいない隙をみて持ってきてくれた一言だけ書かれた小さな紙きれだとかを、なんでこんな丁寧に残してしまっているのだろう。
初めて自分のことを全て投げ出せるほど好きになった人から、自分から遠のいてもう4年になる。全く駄目だなぁ、参った、と思いながら甲府の街を散歩した。
夕暮れが強烈に色付いて世界全部のカラーグレーディングが変わってしまうような、山に囲まれた街。

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