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こういう時間

農作業のことを、わたしは例えばテレビや漫画だとか、或いは中学の頃接待みたいにお世話になった新潟のホームステイ先くらいしか知らないのだけれど、それでも何かを作ることの本質だとふと思ったりした。土を耕すとき、稲を植えるとき、それから金色の穂が生まれ、食べものになって命を生かす。それからまた新しく土を耕す。このサイクルはそのまま何かを作ることにも当てはまると思う。肝要なのはそれぞれのセクションで稲穂が姿をかえることである。だから例えば緑の稲に対して「食べ物には見えない」と思ってそれを捨ててしまうのは非常に勿体無くて、というか筋違いで、とりあえず稲を植えることだけ、そのことにだけ精一杯になれば良いのだろう。

夜は人と飲んで、帰りは甲州街道沿いを行けるところまで歩いた。深夜2時ごろになって、隣で「こういう時間大好きなんですよ」と声が聞こえて、わたしはそれになにも返せずぼうっとしていた。

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