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それでもあくまで軽やかに

長編の小説はいい。読んでいる途中に訪れる「こんな長いものに手を出さなくちゃ良かった」というちょっとした後悔も、読み終えた瞬間の放り投げられたような空虚も含めて、長編小説は日常に並行する物語世界を紡いでくれる。想像力によって活き活きとその世界は動き、発展していく。会社の通勤中、或いは受験勉強の隙間、習い事に行く電車の中、つまむように読書を積み上げながら、並行世界は日常から漏れ出る逃走線になる。日常、もっと言えば未来、いずれくる終わりの。

それでも、というか、だからこそ、あくまで軽やかにありたいと思う。短歌や、歌や、ちょっとした日記だとか、だってそれにしか宿ってこなかったから、本当が。
過去が年々雄弁になる。長編小説を書きたいとずっと思ってきたけれど、好きな色と似合う色は違うのだと、肯定的に受け入れるような、冷静な梅雨がきている。

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