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それでも眠りにつくとき

早めに帰れて、ピアノをひいて、ギターを弾いて、本を読む。わたしには言葉があって、それでいて音楽がすきで、つまるところ、いつまでもそこはかわらず、とても落ち着く、ゆっくりと楽譜を読み解くピアノにはう指の感覚も、にごっちゃうギターのコードもふくめて。
大きなひとつの物語みたいな、抱きしめたくなるようなアルバムを、これで何度目だろうとおもいながら、バスに揺られながら、コンビニでぼうっとたばこを吸いながら、迷子みたいに家のあたりを散歩しながら、聴いていた。こころを落ち着かせてくれる薬みたいなものが、大好きな音楽をゆっくりとなぞる時間だとしたら、こころをすこしずつ育てる水みたいなものが、決して大きくなくって、たとえとても小さくても、それでも輝く断片をもっていると信じている、わたしの"あたり"に住まう言葉たちをつむぐ時間なのかもしれない。薬と水。もっといい言い方があるかもしれないけれど。
最近無理に笑わなくなったら、まるで感情がないみたいになってしまうときがあって、でもそれでもいいと思っていて、明るいことって単純に良いことではきっとなくって、それはただ明るいだけなんだろう。わたしがわたしらしくある時、それが決して太陽に近いわけでは、まったくないのだ。
「暗闇こそが真実なんだ 恐れずに見つめて差し出し それ自体に触れてみればいい それでも眠りにつくとき 任せてはいけない あなたを」
このアルバムの、いろんな曲のいろんな部分にさざめきがあって、忙しなく感情は揺れ動くのだけれど、今日はこの曲のこの歌詞が、ことさらだった。
わたしはことばの奥底をこえて、わたしらしくあろうと、いや、そんな強いことを意識して持ってはいないけれど、これからも今日みたいな日を、ぽつぽつと持てたらいい。

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