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6月の日記-ゆったり夜を踊ってみせる

6.10
昨日撮影したMVの編集をとっとこ行う。撮ってきた素材の一覧から編集の可能性の枝葉が伸びていて、むむむむ言いながら一つずつ検討していく。あるものは実際にタイムラインに置いてみて、あるものは頭の中で。撮影前は「これで決まりっしょ」って思っていたものがしっくりこなかったり、逆に、撮影の岩崎くんがわたしのぽーっとしている間に撮ってくれていたカットが思わぬ道筋を示してくれたりする。深夜、出来上がった途端うれしくってセリザワさんと岩崎くんに送って、すぐにシャワーを浴びて寝た。のび太並みの寝つきの良さ。

6.11
セリザワヒナタ/When I was youngのMVを公開する。

一番のサビがね、「海を見に行こう」というBメロからの繋がりだから、ここは海を歩いているセリザワさんの長回しで行こう!と撮影前から決めていて、なんならそこを主軸に他を構成していたのだけれど、最終的にずっとセリザワさんがアイスを食べている絵になった。両足を大きく開いてギターを挟み、不機嫌そうにガリガリくんを食べているセリザワさんがかっこよくって。またMV撮りたい。言い過ぎると安くなるのわかった上で、セリザワさんがだいすきだ。

6.12
スペースで北本さんと岩崎くんが話していたのに混ぜてもらう。結局首藤くんも合わさって、4人でおしゃべり。楽しかったけれど9日の撮影後に書いた歌詞にメロディーをつけたくて途中で退出した。なんかすんごいいい時間だったんだよな、何を話したのかほとんど忘れちゃった。あ、岩崎くんがね、写真を撮るときに、その瞬間に今まで見てきた写真とか経験とかをくぐり抜けてシャッターを押すっていう話をしていて、これは普遍的な話だなあ、すごい、と思った。なんか技術とか経験とかって、それをもとからいかそうと狙ってしまうとうまくいかなくってさ、シャッターを押す瞬間、その瞬間にバーっと(見たことないけど)走馬灯のように巡るものな気がする。なんとなく気持ち悪い、みたいなさ、そういう感覚に全部宿ってるんだろう。とか思うとさ、ほんと経験って効率みたいなものと折り合いがつかないよね。タイパって何?って感じ、タイ・パーティー?なら許せる。シンハー飲んで気持ち良くなって、ゆったり夜を踊ってみせる。

6.13
首藤くんの歌「僕はそれにほっとしてしまう」がYoutubeとSound cloudで配信されていて、一日中聴いていた。5.25の放課後弾き語り公演で披露してくれた曲。夕暮れどきの会場で、彼の歌声に空間がビリビリと震えてて、多分その場にいた誰もが、目の前で起こっている圧倒的な力に打ち抜かれたと思う。「全てのことに理由はいらないし 僕はそれにほっとしてしまう」裏返らないように注意深く張り上げた彼の声は、鼓膜を通ってわたしの内側から発せられたもののようだった。首藤くんもだいすきだ。かけがえがなくて。

6.14
ドルさんが甲府に来てくれる。明日から伊東へ旅行だ。わたしが本の梱包や納品書なんかを準備している横でネトフリの「HEARTSTOPER」を観ては悶えたり叫んだりしている。わたしははじめこそその道を生きる職人のように黙々と丁寧に梱包をしていたけれど、納品書を書く段になる頃には一緒になって「ああ、これはずるいですね」とか言って見入ってしまった。ずっとMVみたいで観ていて気持ちがいい。

6.15
ローカル線に乗って伊東へ。途中熱海でお昼を食べる。熱海はなんかATAMIって感じで大層賑わっていて、駅前から下り坂で作られたアーケードがいい感じにごちゃごちゃとしていた、まさしくな観光地。お昼の順番を待っている間タンクトップのおじさんが何回も行ったり来たり目の前を通るので、なんかイベントが起きないとあの人一生あのまんまかも…と思った。思ってドルさんに言った。よばれるまであと2組くらいのところでいなくなった。どっかの主人公がイベントを起こしてくれたみたい。
まぐろの漬け丼は美味しすぎて「とろけた…」とつぶやく。気がついたら食べ終えててあっけない。
伊東に行ったのは「本と音楽の店 つぐみ」さんに行きたかったからだった。行きたい本屋があって遠くまで行く、というのをずっとやりたいと思っていた、ということと、海がみたい、ということと、甲府から静岡まで休みの日にいくの意外といいのでは?という実験、三つが組み合わさった完璧な計画だった。あとドルさんとつぐみのオーナーさんは波長が合うかもしれないと思っていた(ドルさんは人を好きになる天才なのでわたしが魅力的だな、と思った人とは基本的に波長が合うのだけれど。横でみていてびっくりする)。
結局、ドルさんがつぐみのオーナーのなほさんをみながら横で「くっ…なんでこんなに…素敵なんですか…」と呟き続けるのに「ほんとそうですよね」と返す時間になった。
わたしはラッキーオールドサンの「Belle epoque」と田中ヤコブの「IN NEUTRAL」のレコード、それにナナさんの日記と篠原さんのインタビュー本なんかを買った。あと岩崎くんへのお土産でKhaki。すごくいい時間で気がついたら3時間過ぎてた。あ、ていうか、放課後っていう活動をしているのを知っててくれて、「垂井さんが来たら流そうと思って」って、シャムキャッツのAFTER HOURSのレコードをかけてくれた!これすごい。ほんと嬉しかった。このアルバムがね、結構放課後、というコンセプトに決める重要な決め手だったりしたんですよね。
夜はなほさんがおすすめしてくれた居酒屋へ。地元の日本酒三種飲み比べを二人で頼んで6種飲み比べた。どれも美味しくって、なんとなく違った。なんとなく。でもわたしはお酒に強くないのですぐにジンジャエールを頼んだ。ドルさんがぺろっとぜんぶ飲んでくれた。
帰りに寄ったローソンの途中で温泉の前の階段で浴衣の若い男女が話をしていた。

6.16
伊東。朝食はバイキング。ナスの揚げ出しが美味しくって4っつ入れたけど3つでよかった。海へいって石を拾ったり写真を撮ったりしたあと、なほさんのおすすめしてくれた喫茶店へ。レモンスカッシュを頼んだらおばあちゃんが「はい〜レスカひとつ〜」と言っててよかった。そのレスカはシロップを自分で入れて調節するシステムで、だからレモンを本当に絞ってたんだろうな、大袈裟じゃなくレスカ史上最高に美味しかった。
その後はなほさんがおすすめしてくれた(われわれの伊東旅はなほさんの聖地巡礼となった)アイスを食べにいった。これうますぎたのでびっくりしたな。てかいいな、伊東!ってめっちゃなった。ATAMIより落ち着いてるし、あんまり高価ではないし。つぐみさんあるし。
帰り、なほさんがわざわざ駅まで来て見送ってくれた。また来るんだろうなあ、と思った。っていうか今度はなんか、もっともっとふらっと行きたいな。
電車に揺られながらぼうっとしていたらドルさんが「ハッピードリンクショップ!」と叫んだから「どしたどした」と言ったら「ハッピードリンクショップが見えたからハッピードリンクショップって叫んだ!」と言ってた。なんかそれにすごく安心して眠くなって、寝ちゃった。

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