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この場所では音楽を聴かなくたっていい

0831
時間が経つのがはやすぎて、何日も日記を書いていなかった。別に忙しかったわけではないけれど、多分人間には「時間を意識せずに行ってしまう考え事」というのがあって、それになんやかんや囚われていたように思う。日常で当たり前だったこと(ご飯を食べることだとか、それこそnoteを書くことだとか、あとは洗濯をすることだとか)がストンと抜け落ちてしまう、そんなような時間を過ごしていた(そしていつもそうであるように考え事は堂々巡りを繰り返していた。結局乗り込み場に戻るジェットコースターみたいに)。
山間の村に仕事でいって、川の向こうを飛ぶミヤマカラスアゲハを見かけた。クロアゲハ→カラスアゲハ→ミヤマカラスアゲハと瑠璃色の輝きが増していくのはまるでポケモンの進化系のようだ。川のきらめきを反射するように瑠璃色が線を描いて森の中に消えた。川の音が心地よくってこの場所では音楽を聴かなくたっていいなぁと思った。

0901
友達と打ち合わせをしてから考え事がまたはじまった。眠れなかったけれど明日が案外早かったので、くだらないyoutubeを観るのをやめて天井をみていたけれど、どうも寝付けなかった。わたしの力を誰かに証明したいと思うとき、その感情はなんというか「純」なものなんだろうか、と思う。なんというか「自慢」には天井が決まっていて、何かをはっきりさせることで終わってしまう、わかってしまう部分があって、それより上に行かなくなってしまう。だから誰にも明かさない秘密が多分重要なんだし、自分のことだって、あんまり話さない方がいいんだろうな、と思う。なんて、文字に打っとけばよかった。頭の中で考えていると解決しないんだよね、いろんなこと、ぐるぐる回って。

0902
仕事でなんだかいいホテルに泊まって、何年ぶりかの露天風呂に入った。温泉って、普段から「行きたい!」とか思わないけれど、いざいくと最高だよな、ってものの代名詞で、なんだか包まれた気がするのよね、風呂上がりのときに。多分物理的に温泉の中に入っている成分が肌をコーディングしてて〜みたいな話はもちろんあると思うんだけれど。
仕事先は異動してすぐだったから一番の下っぱで、指導役のお姉さんがわたしにだけとっても落ち着いたタメ語を使ってくれて、なんだか格好よかった。風呂上がって最高だな、と思ってガラッと開けたらちょうどそのお姉さんがいて、恥ずかしくなって買う気もない自動販売機に直行した。普通に買うよりどれもちょっとだけ安かった。

0903
生活用品を買いにイオンへ。なんだか見つけた昆虫の話ばっかの気がするけれど、甲府駅〜イオン甲府昭和のバスを待っているときにギンヤンマが目にも止まらぬ速さで目の前を走り抜けた。銀色の残像、わたし、なんでかこういうとき、ちょっと涙が込み上げてしまう。調子によってはそのまま泣いてしまう。こっちに来てから景色が新鮮で色鮮やかで、そういうことがとても多い。多分、迫り来る膨大な情報に涙という生理的な反応でしか身体が対応できないのだ。感情を表す言葉はあまりに乏しい(でもだからこそ、わたしたちにとって言葉はかけがえがないとも思う)。
夜は行き詰まって散歩したなあ、それと久しぶりにタバコを吸った。色々なものを無視しながら自分のことを考えて、結果的に何もうまく行かなかった。「どうせわたしなんか」という根底にある拭い難い感情と、わたしだってねえ!という自己顕示や、みてよほら!という欲求や、誰かを求めてしまう欲望だったり、バランスを取るのが大人になるたび難しくなっていくね、繊細になっていく、歪なポーズになっていく。

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