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新種蠢く深海のよう/12月の日記

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久しぶりにとても遅くまで残って仕事をした。自分の短所をキャラメルの包装を解くみたいに露わにされて、そこを炎で炙られている感じがして、「痛え、痛え」とずっと言っていたら「それは成長痛かね」と言われたので、「はい、精神的なそれです…」と返した。長所だけ伸ばせばいいと人はいうけれど、でもわたしはこの短所を本当に直したくって、だから頑張らなくっちゃ、と思って日付が変わって結構経つくらいまで残る。疲れはあるが苦しさはなかった。

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「痛え、痛え」の二日目だった。言われたことにばかり焦点を当てすぎて、そうなると他の要素が消えてしまっているのよ、ということが3回くらい起きた。もっとあっためて、って言われて、めちゃ熱くしたらこれじゃそもそも飲めないじゃんねってなって、飲みやすさを重視したら「これはおいしくないね」って言われる感じだ。口を尖らせそうになりながら、それでも「ここだ、ここで向き合わなくっちゃ」とすごく思う。筋トレも自炊も続かないけれど、わたしにだって「できるようになりたいこと」はちゃんとある。

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「痛え、痛え」の三日目。仕事場最寄りのコンビニでヒロアカのチョコエッグが売っていたので、「チョコエッグ懐かしっ」という気持ちと「仕事見守ってくれや〜〜」という気持ちで買ったら、めっちゃ敵側のフォギュアが出る。それはそれで良し。
自分にとって壊滅的に足りないところがわかって、少しずつ、今まで「なんで上手くいかないんだろう」って思っていたことの答え合わせが始まったような、そんな感じがする。仕事のことだけじゃなくって、もっと色々、制作のこととか含めて。

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仕事の都合で年始に山梨にいなければならなくって、上司が「年越しセット」と言ってみかんやほうとうや干し柿をくれる。その場でみかんを剥いて食べる。みかんは大体150度分くらいを一気に食べるのが好きだ。大きな爆弾が弾けたように、勢いよく口全体に果汁が広がって、口全体が特別にうるおう。

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月一更新で友人とやっているラジオを録った。これは一応自分としてはラジオという個人的に超面白いコンテンツがどうして面白いのか考えるきっかけとして始めたものでもあるのだけれど、もう完全に「我々が楽しいから」やっているやつになっていて、それでいて意外としっかりと準備していたり面白かったりするので、やめられない。
DSで初めて買ったソフトの話になって「カービィのやつ買ったな」と言ったら「それって、参上ドロッチェ団?」と完全に忘れていたソフト名を思い出させてくれた。
思い出せないだけで、確かに蓄積しているものって沢山あって、わたしの操作できるサーチライトでは照らせない思い出の部分って沢山あるのだと思う。やがてまだ夥しい数の新種蠢く深海のように、人生のほんと一部分しかわたし、思い出せなくなっていくんだろうな。

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休日、仕事を今週はしすぎたので色々とバランスが崩れていたから、とにかくまずは本を読もうと鈍行列車にひたすらに乗って八王子まで向かう。本を2時間くらい一気に読むことで、ようやっと精神的な落ち着きが見られ始める。それから、八王子駅でクリスマスプレゼントとか、効力の切れた無印の浄水器の濾過装置を買い直したり、モイスチャースプレーを買ったりする。帰りも鈍行で帰ると、あっという間に日が暮れてしまっている。
乾いたのどに染み渡るような活字、小説、物語。誰かにとってそれは映画だったり、キャンプだったり、スポーツだったりするのだろう。そればっかりだと世間とのバランスが全く取れなくなってしまう麻薬のようで、でもどこかそのバランスの取れなさを、いつも憧れているような、自分の今世にとって不可欠なもの。

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立川のIKEAで大きなシロクマのぬいぐるみと、それよりもズドンと大きなくまのぬいぐるみを買った。帰りの特急がとても混んでいて、車両の間に人が窮屈そうに溜まっている中を二匹は途轍もないスペースをとってみんなから疎まれながら素知らぬ顔で揺れ動いていた。
家に帰って早速青いIKEA袋から取り出す。大きなもふもふ。お腹を触ってみたり、背中を触ってみたりする。「なんですかね」とか「ちょっと今そういうのいいんで」とか言っているような気がする。聞こえる声を聞いていると、なんだかどっちも性格悪そうで、好きになれそうで、少し安心する。

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