親の仇のように固いフランスパンを食す

日々、自分の体調を鑑みながら生活するという、ぬるい日々を送っている。

久々の挑戦者はフランスパンであった。

ここ最近、自分中心の生活を続けていた。
最早自堕落なのか必要な休息なのか分からず、それを深く考え始めるとまたどーんと落ち込み始めるので、頭をパヤッパヤにして過ごすことを心がけている。

そんな中、私に挑戦してくる者(物)が現れた。
フランスパンである。

ロスパンを送ってくれる「リベイク」

パン屋さんで売れ残ったパンを冷凍便で送ってくれる「リベイク」というサービスがある。
日本全国津々浦々のパン屋さんの味を楽しめるかつ、食品廃棄を減らすことに貢献できる大変ありがたいサイトなのだが、いかんせんお財布には優しくない。
パン屋さんのパンってそもそも高いし、送料もあるしね。
結局近場のパン屋さんで買った方が、お財布には遥かに優しい。

……矛盾。

しかし、私は時々気紛れにそのサイトでパンを買う。
小さな段ボールにたくさんパンが入って届くのだが、それが中々バラエティ豊かで楽しいのだ。

今回受け取った箱の中に、ベーコンフランスがあった。
今日の主役はコイツである。

咬筋筋トレフランスパン

冷凍されて届くからレンジで解凍する。
1分20秒くらい……。

細身の20センチほどのフランスパンだ。切って食べるやつではなく、これで一食分って感じの。

フランスパンの上にはカリカリに焼いたベーコンとローズマリーが乗っかっていて、なんだかお洒落な味の予感がした。

…………噛み切れないのである。

先日歯医者に行ったし私の歯に異常はない。私が引きこもっている間にフランスパンの標準的な固さが変わったか、私の顎の筋肉が劣化したかのどちらかだと思ったけれど、よく考えたらどっちもかもしれない。確かめる術がない。

ほんっと!どれだけ頑張っても噛み切れない!
最終的には噛むのを止めて、歯は押さえるだけに留め引きちぎった。
さながらもののけ姫の如く(サーーーーン!)。

んで、噛めども噛めども固いのなんの!

じわじわと顎の付け根、耳下の筋肉に疲労がたまっていくのが分かる。
やっとの思いで飲み込む時には口周り疲労困憊だった。

手強い。このフランスパン、手強すぎる。

日々の挑戦は自分の立ち位置を知るために必要である。

つまるところ、今の私の顎はフランスパンにも勝てない。
これは私が顎に対する挑戦者をこれまで門前払いしてきた結果に過ぎない。
顎を甘やかしすぎた。

心地よいものに囲まれているのは幸せだ。
しかし、その心地よさはその人の能力を殺す。
心地よさに埋まることは堕落への一歩と言えるだろう。

ムリをしないということも大事だ。
それと同じくらい、ムリをすることも大切なのだ。(限度ってもんはあるけど)

長らくチャレンジャーへの門戸を閉ざしていた私の顎は脆弱に成り果てた。
これからは一食一殺の心持ちで励もうと決意を固めたことをここに記しておく。


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