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ジャンル迷子の小説同人誌『水流と稲妻の余韻』の宣伝について考える

こんにちは。
来る4月7日開催のTamaコミにて、新刊『水流と稲妻の余韻』という題名の小説同人誌を出します。
昨日無事に入稿したんですが、今作をどういった感じにアピールしていいのか考えあぐねてます。

なお、この記事はジャンル迷子の同人誌を売るためのハウツーを紹介する意図はありません。
私の頭を整理するための備忘録です。


ジャンルどこ

これまでの既刊を振り返りますと、概ねライトな大衆小説が多いです。イベントでも現代ファンタジーか大衆小説のあたりをうろうろしてました。

しかし、今回の新刊は登場人物の野郎二人の恋愛描写があります。その描写を全面に押しているならジャンルBLを名乗ります。楽しんでいただける方の手に届くことを祈るばかりです。

でもそこまで、BLを求めている方に響くほどには書いてない気がする。
ブロマンスと言いたくもなるけれど、やることはやっちまっている。
それにBLを忌避する方が一定数いるのも事実です。男同士の恋愛を主題にしている訳ではないのにBLと書くだけで興味なしと判断されてしまうのはつらい。でも、それを避けたい方はちゃんと書いておいてほしいよね。それに、最近は社会的な話に絡めてくる人もいる……。

……だから、ジャンルって括りは嫌いなんだ。
どんな話でも様々な側面があるし、私も「ファンタジー好きです〜!」とか言っちゃうけど、それはあくまで「現実世界と異なる世界で人々が営む様を見たい。戦いばかりに偏るのはイヤ。文章は固めがいいし、登場人物は魅力的でほんのスパイス程度に恋愛要素入ってると嬉しい。ただ異世界転生は除く悪役令嬢お前もしばらく結構だ」っていう、好きだからこそ細分化された下心がある。何事もラベル付けたがんなよ。タイパか?タイパ重視なんか?何がタイパだ。そんなこと言うなら生まれて即死ぬのが最もタイパ最高だろう、とか一気に暴論が頭を駆け巡ってしまう。

ジャンルどこや…どんな人の方を向いて宣伝すればいいんだ…。
これだから「書きたいから書いた」自己中な同人誌は困るんだ。想定読者が「私と趣味が合う人」にしかならない。そんな人どうやって見つければいいんだ。

要素と要素の強度を書き出す

要素を整理してみよう。

友情→恋愛に移行
好きになった相手が同性
エロ描写ほぼなし
やることはやってる
現代ファンタジー
異能
文章やや固め
行間だいぶ詰まってる
文字が多くてページ黒め
ハッピーエンドじゃない
結ばれない
バームクーヘンエンド
でも恋愛小説

……人を選ぶ。

2024.3.26 12:33現在


気紛れに使い慣れていないエクセルを起動してみたらもっと訳わかんなくなった。

使えないんだから見栄を張るな

基本に立ち返る。何をしたいのか

そもそも、私はなんでこの本を売りたいのか考えよう。頑張って書いたから読んで!という小学生的承認欲求がまず目につくけれど、根本はそうじゃなかったはずです。

単に私が面白いから私が読みたい話を書いたのでした。
その、私が読みたい話って何よ。

それは確か「物語に没入できる、ちょっと不思議で心に残る面白い話」。
これが読みたくて私は本を未熟ながらも書いてます。ジャンルはばらけたとしても、既刊5冊もこの欲求に基づいてます。
そのため、売れ行きが良いとは言い難いですが、どの本も私にとってはちゃめちゃに面白いです。

……記事を書いているにも関わらず、なんか結論が見えてきたな。
つまり、別に私は売るために書いてるわけじゃないな。じゃあ一人で書いてろよ、と言われても仕方ないですが、第二の目的もあります。

「過去、私を楽しませてくれた物語みたいなお話を書きたい。世界観を楽しんでもらいたい」

そうそう。私はかつて本に、自分が感動させられたことに感動したのでした。読んだ人に面白がってもらいたい。

今回、そんなお話をまた一つ完成させたので、それを読んでもらいたいという訳でした。別に売りたいわけじゃなかったわ。

3.26 14:08現在

そんなら無料で配布かWEBが選択に上がってくるのですが、私はやはり本は紙の形で読みたいし、私が感動した本の形に私の話も近づけたい。
だからWEBはちょっと合わないと考えます。
無料もありだな、と思ったのですが、持続的に行うことを考えると私の財力では不安です。
それに、手にとってくださる人の動機に「無料だから」というものが入ってくるとミスマッチに繋がるように思われます。(「無料、安い」は強過ぎる属性だから正直相手にしたくない。それ自体が動機として強すぎて、本来の目的に繋がりにくいと思ってます。)

結論、私は何をしたいんだ?
それは、私が書いた「物語に没入できる、ちょっと不思議で心に残る面白いお話」を楽しんでもらいたい。

これに尽きる。

ということは、ジャンルとかどうでも良くないか?ジャンルにこだわりがないんだから。
言ってしまえば、この新刊を新刊だからとプッシュする理由なくない?
むしろ、既刊も含めた全6冊の世界観で推してくべきじゃないか?

今回の新刊のBLという難しいジャンルに関する悩みは些末な問題でしかなかったかもしれません。

3.26 14:25現在


そもそも新刊ってなんだよ!

※あくまで自論です。怒らないでください。

私が同人誌を発行しだした2022年、初めて出た文学フリマでも「新刊」の文字がどのサークルのお品書きにも踊ってました。私はあれに、実は、見る度に根深い疑問を抱いています。
以下、私の性格の悪さがめちゃめちゃに露呈しますので、気を悪くした方はすみません。

商業での本屋にしか通ったことがなく、周囲に同人活動をしている人も一切いなかった私が一人で文フリに衝動的に参加し、至る所で「新刊」の文字が躍るお品書きを見てまず思ったのが、

「え!?趣味で書いてる同人誌で新刊楽しみにしてる人っているんだ!アマチュアなのに凄いな!プロじゃないのに新刊そんなに売れるんだ~!」

でした。最悪ですね。
後に、過去に発行した「既刊」に対し、イベントで初めて頒布する同人誌を総じて「新刊」と呼ぶのだと知るのですが、当時の私の感覚では「新刊」という言葉は「本屋に前面に展開する今、話題の本。販売促進の要」という認識が強かったです。

だから新刊という言葉には「待望の新刊!」「今日、○○の新刊発売日だから買いに行かなきゃ!」みたいな人を動かすレベルの影響力があると思ってました。

でも、実態は全然違いますよね。
特に一次小説の界隈では。
少なくとも、私のサークルでは新刊と言うだけで手にとっていただける機会にはほとんど恵まれません。

(ここで声を大にして言っておきたいのは、少数ながら、新しく出すと読んでくださる方がいます。いつも本当にありがとうございます。嬉しいです。新刊が出るのはその方々のおかげです。そういった方に感謝を込めて、私は「新刊!」と言うのです。新刊=「既刊読んでくれてありがとう」)

めちゃ大手のサークルならまだしも、即売会に来るお客さんのほとんどにとっては既刊含めて初めて見る新刊だろ!
いいから、既刊含めてどれが一番自信作でどれが一番思い出深くてどれが一番私が読んだら面白いんだ!!??
それを教えてくれよ!!

さらに言うのであれば。

新刊なんてどうでもいいんだ!
私が求めてやまない面白い話は一体どれなんだ!
分かんないだろうが!
新刊ってだけでデカい顔すんなよ。そんなラベルをつけてもらっても、既刊の方が私にとって求めてやまない話だったら一体どうしてくれるんだ。
限りある時間の中で、新刊なんかじゃなくて、お前のことが読みたかったのに!!

……そんな思いを抱きながら私はお品書きを見てます。
気持ち悪いですね。
まあ、私も新刊書けたら新刊!って売りたくなるんですけどね。
本当、いらんことを気にしてます。

3/26 15:04時点

お品書きに何を期待しようか

話が大きく逸れてしまいました。
とりあえず、私の中で明確になったのは、私は私が書いた同人誌を売る目的を

私が思う面白い話と面白い世界観を楽しんでもらいたい
 面白い話…大人が楽しめるヒューマンドラマを含むファンタジー
 世界観…色彩豊かで没入感があり、ちょっと不思議。日常から地続き。

に定めることにしました。
サークル『この後ケーキを食べるため』の目標にします。

冒頭で悩んでいた『水流』のアピールの仕方も、この目的を前面に押し出せばBL要素もさらっと紹介できそうです。
あくまで目的があって、各小説の要素はその次にしよう。

という訳でお品書きの作成に取り掛かります。

従来のお品書き

紺色と赤色の組み合わせが気に入ってます。
悪くはないと思う。……多分。

エトセトラのスペルミスってるけど。

前回のイベントのお品書き

目的を鑑みて、全体を紹介する文を入れたいですね。
見た人に「読みたい」「好きかもしれない」と思わせて、なおかつ実際に当日イベントに足を運んでもらいブースまで来てもらってムムムと金を出す価値があるかどうか悩ませ、「まあ、一冊くらい…」と納得させ財布からお金を出そうと思わせなければならない。
そんなんハードル高すぎだろ…。

個別の紹介

姉に、「文字多すぎて読む気しない」と言われ、「いや、まあ小説イベントだしぃ」と言い訳した個別の告知。
確かにそうかも……。

全体告知の目的

  • サークルの目的を明示し、世界観に興味を持ってもらう。

  • 興味を持ってもらい、個別の各告知を見てもらう。

個別告知の目的

  • 個別の特色を伝え、読みたいと思ってもらう

  • 実際にイベントに足を運んでもらう

お品書きに期待することは以上のことになりますね。

ふと思い出したやつ

時々、たくさん本がある方がフローチャート式でおすすめの本を紹介してるのありますよね。
買うか買わないかは別にして、私はあのタイプのお品書きが大変好きです。
簡単につくれるかな……。

3/26 16:41時点

全体告知のお品書きをつくる。

目的は

  • サークルの目的を明示し、世界観に興味を持ってもらう。

  • 興味を持ってもらい、個別の各告知を見てもらう。

必要要素

  1. サークル目的を伝えるキャッチフレーズ的なの

  2. 読みたくなるような誘い文句

  3. 能動的に楽しめるフローチャート

  4. 個別紹介に導く簡単な各本の紹介

  5. イベント情報

  6. サークル名

  7. ブース番号

こんなところかしら。番号が上ほど大事。

3/26 18:00現在

下書き

カスのようなセンスを誰かなんとかしてほしい

あまりにもひどいのでレイアウト本を参考にしてみる。

ターゲットを決める

年齢層は狭くしたくない。
ライト過ぎず、ある程度字が詰まった本が好きな人。
一目で敬遠されることのない無難なデザインが良いな。
それにしてはそもそも色味がきつすぎるだろうか…。

なにを伝える。

目的に通ずる

見た人にどうしてほしい

次の個別紹介ページに進んで欲しい
面白そう、と思って欲しい

つくるものは?

スマホで見やすいお品書き。
A3サイズ

デザインのイメージ

親しみやすい不思議さ。シンプルめ。

と、いうわけで作ってみたのがこれ。
全然簡単じゃなかった。めちゃ大変でした。

中々楽しいんじゃないでしょうか!

これは軽率に「YES…NO…」って興味なくてもやっちゃうんじゃないかしら!少なくとも私はほいほい引っかかると思います。
それで思わず次ページのあらすじを開いてしまうのではないでしょうか!

しかし、ここにきて一つ疑問が生じます。

これを全体告知にして、この後に個別の告知をつける予定でしたが、なんか、告知感が薄い…。書影の写真がないせいでしょうか。ただ無理やり画像を入れるスペースはない。しかし地味に感じます。

ツイッターで告知する場合に掲載できる画像は4枚。上の全体告知と6冊分の告知(2冊で1枚、計3枚)。これ以上ページは増やせません。

と、いうわけで悩んで作成したお品書き四枚はこちら

お品書き完成形(画像4枚)


従来通り、書影が分かる華やか目な全体告知のお品書きが先鋒


中堅、全体告知をサポートする読者を楽しませる診断


画像サイズを圧縮し無理やり4作詰め込んだ個別お品書きが大将


ここまで見てくれた方には「おもしろそう」と思って欲しい

はい。無理やり全部詰め込みました。画像が重くて圧縮に圧縮を重ねました。
地味に画像の位置がずれているのが我ながら詰めが甘くむしゃくしゃします。
しかし、想定読者に成り得る「私と趣味が合う人」を捕まえてくれるお品書きができたのではないでしょうか。どうかな…自信ないけど…。

姉から言われた通り、個別お品書きの文字量も少し削減しました。一枚に情報を詰め込んだせいですっきり感はまったく感じられませんが、興味を持ってくださった方は読んでくれると信じている。

あとは、ネットの海に定期的に放流することを忘れずにしようと思います。

お品書き問題はおしまいだが…

「世界観を推していこう!」と決めた訳ですが、そうなるともう一つ改善せねばならない点が浮かび上がってきます。

ブースの装飾、頒布方法です。

今まで私はなんの特徴もなく本を並べて終わりにしていたのですが、それでは「世界観」が伝わり切らないように思います。

しかし、正直お品書きの作成で私のライフは尽きました。
とりあえずこの辺りでいったん終了と致します。
とりとめのない話をここまで読んでくださりありがとうございました!

や~手にとってくださる方が増えるといいなぁ。そして読み終わって「良かった!」と思ってくださる方がいると嬉しい。
今回の『水流』もBLで人を選ぶと思うけど、本当に面白く書けたと思ってますのでご興味持っていただけると幸いです。

もちろん、これまで発行した既刊5冊も自信作です。
ぜひお手にとっていただけますと嬉しいです~!

3/29 18:12 完


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