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専門調査員の良いところ8つ


アフリカ某国で専門調査員として暮らしてもう2年近く経つ。専門調査員としての経験を振り返って、良かった点8つを整理しようと思う。あくまで所得が東南アジアよりも低い国での経験なので、欧米とは全く事情が違うであろう点には留意して欲しい。次の進路として専門調査員を視野に入れている方に参考にしてほしい

■待遇・制度
①家賃補助が出るため、可処分所得が高い
②好きな国で働ける

■プライベート
③パートナーと快適な首都暮らしを満喫できる

■仕事・知見
④アフリカに関する知識が毎日増える(主に経済と企業)。新聞読んで給料が発生する
⑤ドナー機関である大使館/外務省の雰囲気が分かる
⑥現地政府との調整・交渉経験を積める
⑦仕事の量・難易度ともに大したことないのでワークライフバランスが良い
⑧英語を比較的使う環境に身を置ける

①家賃補助が出るため、可処分所得が高い


国にもよるが、家賃補助が2,000~2,500ドルは出るため、家賃はほぼ0となり、可処分所得が大幅に上がる(なお、指定額よりも家賃が高い場合は自腹、指定額よりも低い場合は、家賃と同額になる)。日本で暮らしている場合は、色々な税金を支払う必要があるため、額面での給料の80%が手取りの金額だった。しかし、海外で暮らすと所属税などが引かれるため、額面での給料の90%程度が手取りの金額となり、さらに家賃の支払いはほぼ0なので、可処分所得は会社員として働いていたころの1.5倍になった。

②好きな国で働ける


この点は価値観が反映されるポイントと思う。僕の価値観として、自分の人生はなるべく自分でかじ取りしたいタイプなので、「本社から言われたから(不本意だけど)来ました」という状況は避けたい。なので、ポスト毎の応募制なので、自分の人生をかじ取りできる感覚を得られるのは好ましい。

③パートナーと快適な首都暮らしを満喫できる


専門調査員として派遣される場合(派遣員もそうだが)、国にもよるが2,000ドル以上を家賃として支給されるので、2LDKや3LDKに楽々住める。場合によっては共用プールやジムもアパート内についており、月に1万円程度支払ってお手伝いさんを雇い、掃除や洗濯をしてもらってもよい。さらに、職場まで車で10分の場合もあるので、東京での満員電車とも無縁となる。僕の場合、残業は月に10時間未満なので(かつ見込残業無し)、圧倒的なワークライフバランスでパートナーと悠々自適に暮らせるのは良かった。

④アフリカに関する知識が毎日増える


どの大使館でも共通している専門調査員の業務は、新聞チェックと外部の会議への参加だろう。僕の場合は、毎日1時間ほどかけて新聞チェックを行い、また外部の会議(大抵、現地国政府や欧米系の大使館主催)に週に1度ほど参加して議事録を作成する。場合によっては、現地に進出を考えている日本企業と面談をして、その業界の構造や現地進出における課題や機会などを上司とヒアリングする。このような日々の業務を通じて、アフリカの政治・経済に関する知見を蓄積できる。業務中に新聞を読むだけで賃金が発生するのは、地域研究を行っていた学生の頃からすると夢のようである。

⑤ドナー機関である大使館/外務省の雰囲気が分かる


国際協力を仕事にしたい人にとっては、大使館との連携は切っても切れないと思う。例えば、国連職員として働く場合でも、現地の日本大使館に補正予算を申請する必要があるし、またJICAの職員として海外駐在する場合も、現地の日本大使館と積極的に情報共有を行う必要がある。なので、大使館での勤務を通じて社内の雰囲気や意思決定プロセスを理解する事は、大使館との連携にあたってとても有利に働くんじゃないかと思う。採点基準を知っていることで効果的な補正予算のプロポーザルを書けるし、大使館の意思決定の要である大使の関心を把握することで、効果的に大使館のスタッフレベルに自分の提案を通しやすくなるからだ。

⑥現地政府との調整・交渉経験を積める


JICAにせよ、国連にせよ、NGOにせよ、途上国の開発に貢献するならば、現地政府との折衝や調整経験は不可欠。たとえ関与の程度が少なかったとしても、何かありさえすれば転職の際のアピールポイントになると思う。僕の場合は、議題のアジェンダ作りとそれに伴うリサーチ作業や、プレゼン資料と議事録の作成を行った。もちろん、会議のロジ準備(イスや机の配置など)といった雑用もこなしたが…(政府の役人と直接会話するのは上司であり、政府関係者とアポの調整をするのは大使館の現地職員)。何のために議論を行うのか、議論を経てどのような状態に達したいのか…など効率的な会議設計は民間の経験が生きたように思う。

⑦仕事の量・難易度ともに大したことないのでワークライフバランスが良い


仕事量に関しては大使館によって大きく変わると思うが、正直、仕事の難易度は大したことがなく、前職の民間の仕事のほうが高度な業務内容であったように思う(事実、修士号と語学力さえあれば業務経験が無くても専門調査員になれる)。残業は月10時間未満であり、空いた時間を活用して語学学校や転職活動に費やす事が出来た。ちなみに、オンラインで会話した限りでは、日本との関係が深い大使館(アメリカやイギリスなど)ほど他の専門調査員は忙しそうな印象。

⑧英語を比較的使う環境に身を置ける


外務省の職員も専門調査員もデスクワークの割合が多く、四六時中英語で会話することはないが、頻繁に外部の会議に参加したり、新聞チェックをする必要があるため、日本で勤務するよりは英語を使う頻度は増えた。もちろん、仕事以外でも現地職員との雑談や、タクシー運転手などの会話を通じて何かしら英語を使う環境に身を置けるのは、国際的な仕事に就く登竜門として良いと思う。

以上、専門調査員として働いてよかった事8つでした。何か質問などあれば歓迎します。