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【マッチレビュー】熱狂と裏腹の探り合い ~2022FIFAワールドカップアフリカ最終予選1stレグ ガーナ-ナイジェリア~

2022年3月26日(土) 4:30キックオフ ※日本時間
会場:ババ・ヤラ・スタジアム(クマシ)

ガーナ 0-0 ナイジェリア

筆者選定マン・オブザ・マッチ 
クドゥス(ガーナ)

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マッチレビュー

 共に直前のアフリカネイションズカップ2021(以下:CAN2021)では不満の残る結果に終わった西アフリカの強豪が相見える一戦。スタジアム外では両国のサポーターが入り交じってキレの良いダンスを見せつけあい、独特の熱気に包まれる中キックオフを迎えた。
 会場のボルテージに相反するかのように、両国ともリスクを避け相手の出方を伺いながらゲームを展開する。ナイジェリアはCAN2021でエジプトを苦しめた前線からのプレスは控えめで、特にオシムヘンとイヘアナチョのファーストプレスに周りが連動するシーンが少ない。対するガーナは前線からの圧を避けるためか、高い位置を取った相手SBの背後にシンプルなロングボールを送り、最前線のアフェナ・ギャンがサイドに流れて走り込む場面が繰り返される。

 ガーナは17歳のイサクがカットインを中心とした思い切りの良い仕掛けで徐々に存在感を発揮する。33分にロングボールの落としから左足強烈ミドルでナイジェリアのGKウゾホを強襲し、この試合初めての際どいチャンスを作った。手数をかけずに最短距離で前進するガーナとは対象的に、ナイジェリアは相手ブロックの外側で横方向のパスを繰り返す。41分に右のハーフスペースからPA内に侵入しパスを引き出したアリボがフィニッシュに持ち込んだ場面は可能性を感じたが、ダブルボランチやSBが効果的なポジショニングでアタッカー陣を手助けするような場面は試合を通じて数えるほどだった。

 後半の早い時間帯から交代カード切り、ボール保持時の位置取りを高めに設定したナイジェリアはオシムヘンに楔を打ち込みながら、ロスト後の即時奪回を意識しているように見受けられた。しかし巧みなボールキープと中盤の相棒(トーマス、I・ババ)を上手く使いながらプレスを回避し続けたクドゥスの圧巻のパフォーマンスもあり、ガーナは前半と同様相手の攻撃の停滞化に成功した。
 71分には右サイドから2人を振り切りPA内にドリブルで侵入したクドゥスが低く速いシュートを放ちあわやという場面を迎える。ウゾホのセーブでネットを揺らすには至らなかったが、アヤックス所属の21歳が自らのポテンシャルを遺憾なく発揮した。

 結局両国とも個人による打開以上の有効な崩しの形を見いだせず、スコアレスドローで試合終了。ガーナは決して成熟されたチームでは無いものの、監督交代のゴタゴタを考慮すれば、低めに設定した守備ブロックとシンプルなカウンターが比較的機能したと言えるだろう。ソリッドな戦い方を徹底することで、戦力面で上回るナイジェリア相手にも十分勝機を見いだせるはずだ。
 ナイジェリアは前線の4枚の組み合わせ、両ワイドの単独突破依存やボランチのポジション取り等、主にオフェンス面での課題を大きく残す。母国の首都アブジャでの2ndレグで、スーパーイーグルスは果たして国民の期待に応えられるか。

【引用】
ヘッダー画像 CAF公式Twitter

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