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片親疎外の科学的証明法-The Five Factor Model-

片親疎外を科学的に証明

片親疎外の科学的証明法を紹介します。
片親疎外(Parental Alienation)とは、子どもが一方の親からの悪口などの洗脳により、もう一方の親を拒絶したり嫌う精神状態を指します。このような特殊な精神状態にある子どもを定義する言葉です。拒絶される十分な理由がないにも関わらず子どもが一方の親を拒絶している状態とも言えます。
離婚や別居をきっかけにして一方の親による洗脳が始まるケースが多いとされています。
疎外をする親を疎外親と言い、疎外を受ける(子から拒絶を受ける)親を標的親と言います。
疎外親は自分で子どもを洗脳し、子どもが標的親を拒絶すると、今度は「子どもが会いたがらない」を理由に標的親との面会を拒絶したり、標的親を「子どもが嫌う十分な理由のある親」として親権を奪おうとします。片親疎外は社会的認知が乏しく、子ども自らが標的親を拒絶すると、標的親には何も落ち度がないにも関わらず(もしろ、ほぼ100%の可能性で標的親の方が疎外親よりも健全な親であとる主張する片親疎外の研究者もいます)、親権裁判や面会調停が標的親にとって厳しいものになります。
標的親は、離婚・親権裁判や調停の場で「子から自分へ向けられた拒絶」が片親疎外によることを証明する必要に迫られることがあります。


科学的証明

ここで紹介するのは科学誌に掲載されている片親疎外の証明方法に関する科学論文です。
出典: Barnet W, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatory, 61(5): 591-594, 2022. 
原著の入手方法はこちらです。また、僕の方で全邦訳も準備しております。

この論文は科学論文の中でコメンタリーと言われるカテゴリーで、過去の関連論文にアップデートを入れて総括したものです。つまり、この論文一本しかないのではなく、複数の関連論文がすでに出ており、ここで紹介する科学的証明方法はある程度の歴史があり、信頼度が高いことを示しています。
その上で、この方法はThe Five Factor Modelと呼ばれ、五つの条件すべてが満たされる必要があります。第四と第五条件はさらに複数の条件を要求され、最低でも七つの条件を満たす必要があります。
つまり、片親疎外を証明する標的親にとっては非常に厳しい条件が課されています。一方、これらの条件を満たせば、片親疎外を高精度高確率で証明できると言えます。

法廷や調停での使い方

この証明法(科学論文)を簡単に紹介し、五つの条件をすべて満たしている証拠を示して片親疎外の存在を証明して下さい。
子どもが自分(標的親)を拒絶していることは事実かもしれないが、それは標的親の落ち度ではなく、疎外親による操作・洗脳であることを指摘します。そうやって、まずは子どもによる拒絶が標的親に不利に働かないようにして下さい。
そして、この片親疎外は酷い部類に入る児童虐待であることを指摘し、疎外親へ疎外行動をやめるよう、もしくは、親権や監護権の変更を求めて下さい。
これは科学です。もし、調停員や裁判官が、私は科学は信じないと認めないならば、罷免や変更の申し立てをして下さい。それくらいのことです。
水が100度になったら沸騰するなんて信じない。地球が太陽の周りを回っているなんて信じない。出血多量が死因になるなんて信じない。こんな人に裁く資格はありません。

The Five Factor Model

第一条件(Factor one)

子どもが標的親を拒絶している。一方の親は大好きでもう一方は大嫌いと大きな偏りを示す。

第二条件(Factor two)

疎外が顕著になる以前(例えば親の別居以前)には、子どもと標的親との間に良好な関係があった。普通な親子関係があった。

第三条件(Factor three)

標的親による継続的な虐待やネグレクトが無かった。子どもを傷つけることを言ってしまったくらいの経験は誰にでもあります。それが一度切りだったり、ごく稀にであれば、ここでは虐待やネグレクトと見なしません。完璧な親、子育てに後悔の全く無い親はいません。

第四条件(Factor four)

疎外親が典型的な疎外手法(Behavior)を複数を行っている。
以下17の典型的な疎外法です。
1) 標的親への悪口。
2) 標的親と子どもの関わりを制限。
3) 標的親と子どものコミュニケーションを妨害。スマホチェックなど。
4) 標的親のことを子どもの前で話題に上げない(無視)、話さない。
5) 子どもが標的親に興味を示す(話したい、会いたいなど)ことを許さない。
6) 子どもに標的親はあなたを(子どもを)愛していないと吹き込む。
7) 子どもに親を選ぶことを許す(会いたくないなら会わなくて良いなど)。
8) 子どもに標的親は危険な存在だと印象付ける。
9) 子どもに標的親を拒絶させる。
10) 子どもに話すのは適切でない大人の話題を子に話す(浮気、養育費など)。
11) 子どもに標的親を監視(スパイ)させる(どうしてた?新しい恋人は?)。
12) 疎外親と子どもの間で「標的親には内緒」の秘密をつくる。
13) 疎外親と子どもの会話の中で標的親をファーストネームで呼ぶ(日本では苗字やさん付けで呼ばせるが感覚的に近いと思います。父親を田中さんと呼ばせたり、母親を花子さんと呼ばせたり)。
14) 疎外親と子どもの会話の中で義理の親(再婚相手や新恋人)をお父さんお母さんと呼ぶ。
15) 子どもの医療記録や学校での情報(通知表など)を標的親に与えない、シェアしない。
16) 標的親の名前を除く形で子の名前を変える(標的親が父親の場合、父親の名字から母親の旧姓へ変更など)。
17) 標的親の権威を下げる(標的親をとるに足らない人であるような印象操作、大事にしなくて良い家族の奴隷のような人と印象操作)。

第五条件(Factor five)

子どもが片親疎の洗脳を受けた場合に見せる特徴的な言動を複数の示している。以下8つの特徴です。
1) 標的親を第三者(裁判官、弁護士、セラピスト、カウンセラーなど)へ誹謗中傷する。
2)標的親を拒絶する明確な理由を答えられない。曖昧な理由で拒絶する。
3)疎外親と標的親に対して極端に偏った評価を示す。疎外親は常に正しいが標的親はいつも間違いばかりなど。
4) 独立思考。拒絶は自分自身の意思によるもので誰か(疎外親など)に強いられたものではないと主張する。
5)標的親に対する一切の罪悪感の欠如。どんな標的親を傷つけることを言ってもしても何の罪悪感を持たない。
6)反射的に(大した根拠もなく)疎外親への援助や共感や好印象を示す。
7)借りててきたシナリオ。疎外親の言葉や考えと同じものを使い標的親を拒絶したり人格否定をする。「パパ(ママ)は、お酒の飲み過ぎで怖い」など。子どもはどの量の飲酒が飲み過ぎなのかを知っているはずもないし、「飲酒=危険」の発想も持つはずがないので、誰か(疎外親)の入れ知恵だと判定できます。
8)疎外が標的親の親族(祖父母、叔父叔母、従弟にまで及ぶ)

The Five Factor Model総括

第一条件で子どもによる拒絶があること示します。片親疎外の定義そのものと言って良いです。
第二条件は、標的親に落ち度がないこと、疎外親のよる操作が離婚などのきっかけや特定の時期から、発生したことを示します。
第三条件は、標的親に落ち度がないことさらに示します。
第四条件は、疎外親が子どもを操作してことを示します。
第五条件は、子どもが疎外親による操作を受けて一定の精神状態の変化(ダメージを受けていること)を示します。

基本的にはこの五条件すべてを満たさなければなりませんが、場合によってはそれ以下でも可とされます。
例えば、苛烈な片親疎外は子どもが生まれた直後から行われる場合があります。信じられないでしょうが、このケースもあります。生まれてからずっと子どもは標的親を憎み拒絶することを強いられる状態です。子どもが標的親と良い関係を持ったことが一度もない状態で、第二条件が満たされません。この場合は、その特殊な事情を説明して理解を得ることが大事です。ある意味第二条件が満たされるよりも酷い片親疎外と言えます。また、子どもは洗脳はされず標的親へ愛着を持ち続けている場合もあります。ある意味分かり安い状況で、子どもは標的親に会いたい一緒にいたいと主張しているのに疎外親が頑なに疎外している状態です。この場合は、第一条件と第五条件は満たされず、定義上は片親疎外ではありません。しかし、疎外親の行っていることは児童虐待であり、子どもが危険な状態にあると主張できると思います。第一条件と第五条件を満たすようになれば子どもへの悪影響は甚大です。即刻、疎外親の疎外行動を改めさせるか、監護親の変更を求めましょう。

証拠集め

これら五条件を満たしている証拠を集める必要がありますが、どのようなものが使えるのかヒントを書きます。

第一条件(Factor one)

子どもが標的親を拒絶している。
疎外親は多くの場合「子が標的親と会いたがらない」を理由に面会拒絶など主張します。つまり、ほぼ100%の可能性で疎外親自らがこの証拠を提出してくれます。面会時間に子が自分のところへ来ようとしなかったも証拠になります。または、子どもは標的親の元(面会)に来るものの、ヘッドホーンでずっとゲームをして標的親と一切関わろうとしない場合もこの条件を満たしています。

第二条件(Factor two)

子どもと標的親との間に以前は良好な関係があった。
拒絶が始まる前の子と普通な親子であったころの写真や動画を提出すれば良いです。誕生日会やら動物園などへのお出かけ。標的親の実家への泊りがけの帰省でも良いと思います。片親疎外後のような激しい拒絶が昔からあったのなら、子どもが標的親の実家に来るなんてありえません。

第三条件(Factor three)

標的親による継続的な虐待やネグレクトが無かった。これはむしろ疎外親が継続的な虐待やネグレクトがあったことを示すべきで、それが出来ないのなら、無かったとことになります。「私は虐待やネグレクトはしていません。あったと言うなら、証拠を提出して下さい。」それで良いです。また、もう一方の親が出張などの一定期間留守の間に子どもと留守番した事実なども良いでしょう。虐待やネグレクトがないから、疎外親は安心して子どもを標的親に預けて出張に行けた訳ですし、現在、子どもが生きていることは一緒にいた親がちゃんと世話をした証拠でもあります。

第四条件(Factor four)

疎外親が典型的な疎外手法(Behavior)を複数を行っている。
書面、画像や動画などの証拠を出来るだけそろえましょう。疎外親自らが提供してくれることも多いと思います。疎外親は標的親との面会を拒絶したり妨害することが多く、2) 標的親と子どもの関わりを制限、が満たされます。また、「子どもが会いたがらない」から会わせないは、7) 子どもに親を選ぶことを許す、が満たされます。

第五条件(Factor five)

子どもが片親疎外時に見られる特徴的な言動を複数の示している。
書面、画像や動画などの証拠を出来るだけそろえましょう。疎外親自らが提供してくれることも多いと思います。
「子ども自らが会いくないと言っている」は、4) 独立思考です。疎外親は私が拒絶するように洗脳したとは言いませんから、この独立思考は狙い目です。子どもを出廷させるべきではないですが、理解のある第三者に子どもと話して貰うのは良いと思います。「お母さん、お父さんと会いたくないの?なぜ?」とかなら良いと思います。注意点は疎外親を決して悪く言わないことです。悪く言うと疎外親と同じことをしていることになります。

動画による説明

紹介した論文の筆頭著者Dr. BarnettによるThe Five Factor Modelの簡単な説明動画です。

注意点

法廷では「片親疎外」の言葉をできるだけ使わないよう心掛けて下さい。
アメリカで標的親の弁護を多くしている弁護士が「片親疎外」(英語ではParental Alienation)の言葉を法廷では可能な限り使わないと発言していました。ある程度は使わざるを得ませんが、可能な限り少なくするそうです。理由は裁判官が「片親疎外」の言葉に脱感作していくからです。何度も聞いている間に裁判官がその言葉に慣れてしまい、それほど、重要な問題でない印象を持つようになります。それに加えて、相手(疎外親)をレッテル張りして貶めようとしている印象を与え、裁判官からの心象が悪くなります。
これは自己愛性人格障害(NPD: Narcissistic Personality Disorder)(DVモラハラ加害者)を相手にする裁判でも同じことが言われています。いくら状況証拠があっても、相手が自己愛性人格障害者であるとか、「自己愛性人格障害者」の言葉を連呼しない方が良いとされています。理由は同じです。
また、「片親疎外」の呼び名や定義について長く不毛な議論があり、「片親疎外」の言葉を聞くと、待ってましたとばかりに、相手弁護士がこの不毛な議論を再燃させる可能性があります。これは別記事にします。「片親疎外」に言葉にアレルギー反応を示す人がいるから、できるだけ、使わないとだけ覚えておいて下さい。
では、どうするか?
疎外親や子どもの行動パターンを示しながら、片親疎外の言葉を使わないようにします。
例えば「片親疎外は子どもへ苛烈な虐待です」と言う代わりに「子どもと親との健全な関係を妨げる行為は苛烈な子どもへの虐待であることが科学的に示されています」と言ったりします。少し長くなり面倒ですが、このように片親疎外の言葉を可能な限り使わないようにして下さい。
その代わりに連呼すべき言葉は「子の最善の利益」と「協力と協調」です。
「私は離婚後も子どもが父母双方を愛情あふれる関係を維持することが子の最善の利益と考えます。このような子の最善の利益を達成するため、私は、元配偶者と今後も協力して行きたいと考えています。」
こんな感じで「片親疎外」は使わず、子の最善の利益と協力と協調の言葉を多用するようにして下さい。元配偶者への文句や人格否定を行い、いかに親権者・監護者としてふさわしくないかをアピールするよりも、子の最善の利益のため、元夫婦間の葛藤を乗り越えようとする親へ裁判官は好印象を持ちますし、主たる監護者であるべきです。

ナルシシズムとの関係

本Noteはナルシシズム問題の解決を目的にしています。
片親疎外とナルシシズムの関連は、自己愛性人格障害者(ナルシシスト)は必ず片親疎外をするこです。

こちらのブログ記事にも書いていますし、説明しなくても分かる人は多いと思います。

標的親の味わう絶望は深く自死に至るケースもあります。子どもに与える悪影響も甚大です。ナルシシズム問題の中でも、早急に解決したいと思っているものの一つです。ご協力お願い致します。

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まとめ

法廷や調停などで片親疎外を証明する目的に本Note記事をお使い下さい。
繰り返しですが、これは、科学です。科学的証明です。科学を信じないと言う関係者(裁判官、調停員など)は罷免して下さい。

片親疎外を法廷で証明する必要のある人のために書いたのですが、こうやって書いてみると、片親疎外とは何か?その過程で何が起こるのか?社会的認知にも役立つ内容にもなる気付きました。片親疎外が元配偶者と子どもへの酷い虐待であることが良く分かると思います。また、本来一番の愛着を持つはずの親を憎み拒絶し攻撃し(第一要素)、一切の罪悪感もない(第五要素)状態になった子どもが、その後、標的親と以外なら愛情溢れる人間関係を築けるのか?と言うと、それがとても難しいことも、分かると思います。本Noteの趣旨に賛同頂けましたら、この情報の拡散、または、必要と思われる人への紹介をお願い致します。
急ぎ、この情報が必要な人もいると思います。原著は英語ですのでまだまだ邦訳の改善など必要かもしれませんが、この時点で公開します。ご意見、ご批判、ご指摘などありましたら、コメント下さい。また、法廷で論文の全邦訳を要求されたなど、こちらで対応可能なものがあればお知らせ下さい。

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