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通常のセラピーは片親疎外を悪化する

はじめに

通常の家族統合療法(Reunification Therapy)が片親疎外により壊れた親子関係の修復には機能しないどころか、むしろ、悪化させます。
片親疎外(Parental Alienation)とは、子どもが一方の親からの悪口などの洗脳により、もう一方の親を拒絶したり嫌う精神状態やその状況を指します。片親疎外は、精神的な虐待の一つですが、子どに与える悪影響は、身体的、性的虐待と同等の酷い部類に入る児童虐待です。この虐待から子どもを救うため、アメリカでは、弁護士が家族統合療法(Reunification Therapy)を薦めることが多いです。また、裁判所がこのセラピーを命じることもあります。おそらく、共同親権が法制化された諸外国でも同じでしょう。しかし、通常の家族統合療法(Reunification Therapy)は、効果がないどころか、むしろ子供の洗脳を強め片親疎外を悪化します。片親疎外と戦う場合は注意が必要です。


こんな人に読んで欲しい

片親疎外への理解を深めたい

なぜ、通常のセラピーが上手く行かないのかを解説します。また、これを理解することで、片親疎外への理解が深まります。すでに洗脳された子供をセラピーの中心に置き、子供を言うことをすべて肯定するので上手く行きません。片親疎外とカルトはとても良く似ていています。

国際結婚から片親疎外へーアメリカなど共同親権国で片親疎外と戦う標的親ー

アメリカや共同親権の国々に住む日本人のために片親疎外のセラピーの情報とは、なんとニッチな題材を扱うのかと思う人も多いでしょう。しかし、実は海外で片親疎外に苦しんでいる日本人は多いです。苛烈な片親疎外をするのは、自己愛性人格障害者(ナルシシスト)です。この人達は同時にDVモラハラ配偶者です。ナルシシストは自己陶酔と相手を利用する目的で国際結婚を望みます。国際結婚は、異文化の人と結婚できるカッコよくて優秀な自分を誇示し、見栄えが良いです。ナルシシストが望む陶酔が得られます。また、国際結婚は、同国民同士の結婚よりも、相手を利用してやろうとの思惑が強く働きます。ビザ(居住権)が欲しい(外国に住みたい)、外国語を教えて欲しい、言葉で困ったときは助けて欲しい、ハーフの子供が欲しいなどです。つまり、ナルシシストは国際結婚を望みます。国際結婚が、DVモラハラ化し、離婚裁判が始まれば片親疎外が始まることは多いです。
この記事は僕のアメリカでの失敗経験が元になっています。現在、片親疎外と戦う方には是非読んで頂きたいです。セラピストや弁護士選びの注意点が後半にあります。

すでに将来を見据えている意識の高い日本人

日本では、このようなセラピーは、現在は、一般的ではありません。単独親権制度が片親疎外の存在を隠すからです。しかし、いずれは、共同親権が導入され、片親疎外が社会問題となります。そして、このようなセラピーが導入されて行くでしょう。つまり、近未来の日本でも注意が必要です。

片親疎外は子どもへの虐待

片親疎外の中で育った子は、薬物依存、自己肯定感の低下、精神疾患、脳機能障害、人格障害、自殺、致死性疾患(がんや心疾患)のリスクが統計的優位に上昇します。片親疎外は、子どもを生涯に渡って苦しめ、自殺や致死性疾患により命まで奪う酷い虐待です。

家族再統合治療(Reunification therapy)は逆効果

原則共同親権・共同監護のアメリカでは、裁判所で片親疎外が認められた場合、子どもに家族再統合治療を受けさることが命じられることがあります。また、弁護士が薦めることもあります。しかし、通常の再統合治療は、片親疎外の場合は逆効果となり、子どもの洗脳を解くどころか、洗脳を強めます。やればやるほど、子どもの標的親への拒絶が強くなります。

このYouTubeは、その理由を詳しく説明しています。
ここでは、僕とその他の標的親の経験から、主な二つの理由を説明します。

子どもの洗脳を強める

通常の再統合治療は、片親疎外(Parental Alienation)ではなく、疎遠(Estrangement)により失われた家族を絆を取り戻すことを想定して設計されています。例えば、戦争などで長く生き別れた親子などです。
この場合、子どもの気持ちに寄り添い、親子で理解を深め合うプロセスになります。
しかし、これを片親疎外ですると全く逆効果になります。
すでに洗脳されてしまった子どもをセラピーの中心に置くからです。
よくある例を上げます。片親疎外では、子どもは、標的親による虐待など、嘘の記憶を植え込まれることがよくあります。
セラピーで子どもが「パパに虐待された」と言ったとします。セラピストは必ず「そのときのことを詳しく話してみて」とリクエストします。子ども植え込まれた記憶を話します。嘘の記憶を話す過程と、第三者のセラピストが信じて聞いたことにより、子どもは、その虐待された記憶は真実だったとさらに強く思い込むようになります。つまり洗脳が強まります。虐待の記憶までは行かなくても、標的親は子どもを愛していない、気にしていない、危険だと何等かの拒絶や嫌悪に繋がる嘘を埋め込まれています。嘘の虐待の記憶でなくても、同じ結果になります。
なぜ、パパ(ママ)は悪い人なの?
なぜ、パパ(ママ)が嫌いなの?
通常のセラピーではこのようなやり取りが繰り返されて、子どもの洗脳が強まります。結果的に子どもの標的親への拒絶や嫌悪が強まります。

カルトに洗脳された一信者を救い出す場合を考えれば分かり安いです。
あなたの信じてる神様ってすごいよね。あなたの教団がやっているこって全く持って素晴らしくて正しいよね。
そんな風にすでに洗脳された人を中心に置き、その言い分をすべて認めながら、この信者をカルトから脱退させることは出来ません。
実際にカルトと片親疎外はとても良く似ています。

子どもの力を強め標的親の力を弱める

片親疎外では(標的)親と子どもとの力関係が一般的な家庭とは真逆になります。子どもの方が親よりも力を持ちます。
疎外親は、子どもを洗脳し、子どもが標的親と会いたくないと言えば、今度は、それを使って標的親に会わせないという自作自演のドラマをうちます。標的親が会いたいと言っても、「子どもが会いたがらない」を理由に会わせません。つまり、子どもに対して「あなたは、標的親の思いを踏みにじっても構わない、その権利がある」と教えます。親よりも子どもが強い権限を持つ異常な家族の構造になります。
また、子どもへの洗脳方法として、標的親は親としてやるべきことをしないから、ダメな親であると言い聞かせます。
例えば、アメリカでは母親の方が収入が多く稼ぎ頭の家庭があります。このような場合、疎外父は「母親は自分の仕事やキャリアを優先して母親として家事育児をしていない」と子を洗脳します。「養育費を払っていない」と子どもに対して標的親を非難する疎外親もいます。この過程を通して子どもは標的親のことを、子どもの要求をすべて満たすべき奴隷のような存在として認識します。
「パパ遊んで」
「ごめんね。最近徹夜続きの仕事だったら、今日は寝させて」
普通の家庭なら何でもないことですが、片親疎外の場合は「だから、あんたはダメな父親なんだよ!」と子どもが言い出します。親子の力関係が異常です。
このような利己的他罰的な主張になるのは、苛烈な片親疎外を行うのが自己愛・境界性人格障害者だからです。モラハラ夫、モラハラ妻は、このような主張します。子どもには、この疎外親(人格障害者)と同じ権限が与えられ、その言い分と論法を使ういます。子どもが、自己愛・境界性人格障害者化して行きます。子どもは、標的親に対して、横柄で尊大な態度をとるようになります。
このような状態で子どもを最も尊重すべき存在としてセラピーの中心に置くとどうなるでしょうか?
これは僕も経験したことですが、セラピストは子どもの話を聞き「それは問題のあるパパだね。分かるよ。パパは、子どもの言うこと聞いて、ちゃんと改善して下さいね」となります。
つまり、子どもは「標的親は自分の要求をすべて満たすべき奴隷のような存在」の思い込みをさらに強めて行きます。そして、モラハラ夫、モラハラ妻と対峙しているかのような揚げ足取りが始まります。
「ママの料理マズイんだよね」と子どもが言い、「ママさん、もう少し、料理の勉強をしては如何ですか?」とセラピストが言う。悪循環です。
つまり、片親疎外によりすでに異常な力を持った子どもにさらに力を与えて、子どもよりも力の弱まった標的親の力をさらに弱めます。

出典

通常のセラピーが片親疎外の場合に上手く行かないことを示した文献を以下に上げます。

‘We have added 300 new cases to our original sample of 700, for a total of 1000 cases (...) Our research continues to confirm that, even under court order, traditional therapies are of little, if any, benefit in regard to treating this form of child abuse.’
Clawar, S. S. & Rivlin, B. V. (2013). Children held hostage: Identifying brainwashed children, presenting a case, and crafting solutions (2nd Edition). Chicago, IL: American Bar Association.

‘In separation and divorce cases where a child is severely alienated from a once loved parent, traditional therapeutic approaches grossly fail.’
Reay, K. M. (2015). Family Reflections: A promising therapeutic program designed to treat severely alienated children and their family system. The American Journal of Family Therapy, 1–11, 197-207.

‘Traditional therapies and interventions are not successful in rehabilitating children affected by [parental alienation].’
Dunne, J. & Hedrick, M. (1994). The parental alienation syndrome: An analysis of sixteen selected cases. Journal Of Divorce & Remarriage, 21, pp. 21-38.

‘Therapy in more severe cases, which may include some moderate cases, may be associated with the alienation becoming more entrenched.’
Fidler, B. J., Bala, N., & Saini, M. A. (2013). Children who resist postseparation parental contact: A differential approach for legal and mental health professionals. New York, NY: Oxford University Press.

‘Therapists who insist on a trial of conventional therapy (e.g., to ‘see for myself’) are exceedingly unlikely to succeed (…) such an approach is worse than worthless because while the therapist provides futile treatment, the child, already injured, is deprived of effective intervention–including protection.’
Miller, S. G. (2013). Clinical reasoning and decision-making in cases of child alignment: Diagnostic and therapeutic issues. In A. J. L. Baker & S. R. Sauber (Eds.). Working with alienated families: A clinical guidebook (pp. 8–46). New York, NY: Routledge.

‘Traditional therapies invariably lead to calamitous results: the alienation deepens, and when the therapy fails, the targeted/alienated parent is blamed: after all, it is claimed that, even with the benefit of therapy, the relationship between the rejected parent and child was not restored.’
Gottlieb, L. J. (2017). Amicus brief discussing effective treatment for parental alienation or for a severed parent-child relationship.

‘Cases involving allegations of abuse and alienation require practitioners who have considerable clinical experience and specialized training.’
Fidler, B. J. & Ward, P. (2017). Clinical decision-making in parent-child contact problem cases:| Tailoring the intervention to the family’s needs. In Abigail M. Judge and Robin M. Deutsch (Eds.) Overcoming parent-child contact problems: Family based interventions for resistance, rejection, and alienation. New York: Oxford University Press.

対処法

この通常のセラピーが片親疎外を悪化することを僕自身が経験しました。その失敗を経てのお勧めです。

1)片親疎外を理解していないセラピストは使わない

僕自身も経験しましたし、同じような標的親との情報交換の中で学んだことは、セラピーに限らず、片親疎外は、それを理解していない人が関わると標的親と子どもにとって必ず悪い方向へ進みます。YouTubeなどで情報発信をしていて、この人は、片親疎外を理解していると確信を持てるセラピスト以外には頼まない方が良いです。片親疎外のセラピーで実績のあるセラピストがその他のセラピストに向けて発信していた内容が印象的でした。

もし、あなたが片親疎外の治療法について学びたいのであれば、私はそのお手伝いをします。しかし、もし、あなたが、片親疎外が何なのかよく分からない、学習する気もないのなら、お願いですから、そのセラピーを引き受けないで下さい。引き受ければ必ず悪化します。絶対に断って下さい。

残念ながら、片親疎外を理解しているセラピストは少ないです。僕はアメリカでも人口の多いNew Jersey州に住んでいますが、片親疎外を確実に理解しているセラピストは一人も見つかりません。必要ならば、他州へ行かなくてはいけないと思っています。

2)セラピストに治療方針を尋ねる

これは長く片親疎外に関わってきた人が言っていたことです。子どもをセラピーに連れて行く前に、まずは、その方針をセラピストに聞いて下さい。
どうやって片親疎外により壊れた親子関係を修復するつもりですか?
明確に答えられないセラピストは絶対使うべきではありません。また、この記事で紹介したように、子どもを中心に置くとか、子どもの思いを受け入れて下さい、なんて言うセラピストは使ってはいけません。

セラピーを薦める弁護士には注意が必要

アメリカでは片親疎外と戦うことを売りにした弁護士が沢山います。
しかし、その弁護士が知ったかぶりで「子供へのセラピーをしましょう」と言い出したら、注意が必要です。説明した通り、通常のセラピーはとても危険です。
つまり、セラピーを薦める弁護士は、片親疎外に対してはど素人です。単に金儲けのために知ったかぶりをしていると考えて間違いないです。
YouTubeでも個々の弁護士のホームページでも、片親疎外への対処としてセラピーをしましょうと知ったかぶりで言う弁護士は本当に多いです。
注意して下さい。
本当に片親疎外への知識や経験のある弁護士ならば、セラピーをしてはいけないとか、セラピストを誰にするかの選択は重要であると言うはずです。

まとめ

通常の統合療法は、片親疎外により破壊された親子関係の修復は出来ないどころが、むしろ、悪化します。すでに洗脳された子どもをセラピーの中心に置くからです。弁護士や裁判所は安易にこのセラピーを受けるようにと言うことがありますが、誰をセラピストに選ぶかは本当に重要です。理解していないセラピストを選ぶと、本当に大変なことになります。僕も経験しましたが、最悪の場合は、セラピストは疎外親に見事に騙され、標的親を児童虐待者と認定し裁判所へ報告したりします。この人は絶対に理解しいるというセラピストを選びましょう。

サポートの検討ありがとうございます。いつ、いくら、どう支払うかは、お任せの料金ポリシーです。頂いたサポートは僕が自分のためだけに使うことはありません。必ず、ナルシシズムをやっつけるために使います。