三善晃の創作意識変遷について 目次

はじめに

この文章は2020年1月に執筆したものを、概ね改訂することなく投稿しているものです。特に結論づけの方向性においてはお叱りを受けることもありましたが、リライト等は基本的に行なっていません。その点は念頭に置いてお読みください。

この頃の私の興味を支配していたのは「ロマンティシズム」ということでした。それは芸術主張であり、そして現代ではすでに主流ではないものです。この作曲家の意識の変遷を丹念に追うことで、「ロマンティシズム」が消え去っていく姿を透視したかったのだと思います。ただし、本文章では実際にそこまでの論考まで至らず、三善晃という作曲家の音楽作品以外の面から見出しうる意識変遷について言及しているに過ぎません。

ところで序論で詳しく述べていますが、この文章では著作からの意識変遷を主に追うことを主目的としています。これは単純に筆者の読譜能力の至らなさゆえ、この作曲家の音楽を分析・理解しきることができなかったためです。そのため作曲家を対象とした論考としては酷く不完全な側面がありますが、そこはご容赦ください。

さて、それでは目次からはじめましょう。


序論

第一章 習作期 ー1958年まで

第二章 前提としての「創作に於ける国際性と国内性」

 第一節 「孤独」という概念
 第二節 「伝統」という概念
 第三節 結論と意味付け

第三章 「古典」と「ロマン」の狭間で ー1969年まで

 第一節 1960年代における三善晃の作風の変化ー遠山と船山の先行研究をもとに  
 第二節 「古典」と「もの」という概念
  第一項 前提としての「ストラヴィンスキー」
  第二項 「構想について」と《交響三章》の矛盾
 第三節 「ロマン」という概念 ー「古典」の変容
  第一項 「古典的なものへのあこがれ」と「ロマン的なものとの訣別」
  第二項 「ロマン的なものとの訣別」で示される概念の転換
 第四節 「古典」と「ロマン」の関係を見つめて
 第五節 作風の変化 ー素材と形式をめぐって
  第一項 素材への眼差しから《交響三章》へ
  第二項 二つの《弦楽四重奏曲》 ーオブジェ化の進行
  第三項 四つの協奏曲 ー形式と抒情の両面から
  第四項 《変容抒情短詩》とまとめ

第四章 「もの」との関係の変化と「死」 ー1968年から1984年まで

 第一節 「死」と「飢餓」 ー前提として
 第二節 「死」の概念の出現
 第三節 規範意識からの逸脱 ー西洋音楽の呪縛からの解放
  第一項 西洋音楽の呪縛からの解放
  第二項 「もの」との関係の変化
 第四節 合唱作品の系譜 ー「絶望」と「死への傾斜」「愛」
  第一項 《王孫不帰》前後で作風は本当に断絶したか
  第二項 2つの流れの交わるところ
 第五節 「伝統」概念の到来 ー「日本的なもの」
 第六節 三部作とはなんだったのか

第五章 創作意識変遷の終結 ー1980年以降

 第一節 幾度も登場するテーマ
  第一項 「出会い」
  第二項 「見えないもの」と「風土」そして「共存」
  第三項 「こと分け」と「みんながいたからよかった」
  第四項 随筆家としての三善晃
 第二節 作品群の新規性
  第一項 大規模器楽作品 ー四部作から《遠い帆》、《三つのイメージ》へ
  第二項 室内楽作品 ー完成と子どもへの眼差しへ
  第三項 合唱作品 ー原初の海と
  第四項 その他の作品
 第三節 創作意識は移り変わったか

終章 三善晃を通史的に再確認して

参考文献

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