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4/2 電車で空いた一席を譲り合う虚偽の思いやり

すっかり気温があがり、ぬるま湯の中を歩いているかのような夜。新宿をうろうろしてラーメン屋に。

店内は狭めだけど客は1人だけ。店員とカウンターに座った客が和気藹々と話している中、食券を買って対面のカウンター席につく。

店員は威勢よく注文を受け取り麺を茹でている。その間も対面のカウンターに座った客と談笑している。

もし僕がこの対面の客だったらこんなにも会話弾ませたくないかもしれない。もし僕が先にこの店に入り、あの店員の談笑相手というポジションを獲得していたとしたら。ぬるま湯の気温なのに冷や汗をかいた。

ラーメンを食べ終わりまた新宿をぶらぶら。僕より先にいたカウンター席の客は僕よりも後にラーメンを食べてた。

都庁前の方まで足を伸ばしてみる。歌舞伎町では人々がひしめき合い、狭い路地裏を右往左往するのに、都庁周辺は閑散として道が広い。道が広すぎて一歩が小さく感じる。歩いても歩いても横断歩道を渡りきれない。まいった。

LOOPで颯爽と横を過ぎ去っていく少年少女。まだ電気が消えてないオフィスビル。赤の血文字で塗り固められたLOVE。

新宿に戻り帰りの電車に乗り込むと、帰宅するスーツの群れ。朝ほどではないがまだまだ人が多い。全員がちょうど空間を埋めているくらい。

そんな中下車する客が立ち上がり一席だけ空席ができた。空席の前に2人の人間。お互い座りたいのに譲り合う。ここでなにも言わずしれっと座るとなんか感じ悪くなる。でも譲った手前積極的には座れない。自分に正直になろうね。

片方が折れて仕方なく座るような雰囲気。本当は嬉しかろう。自分に正直になろうね。

1人分の空間があいた。その空間には誰も立ち入ろうとはしない。勘のいいFWなら飛び込んでるだろう。自分に正直になろうね。

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