20090716_007__のコピー

4.中国とモンゴルのあいだ

人生最悪のベッドから目を覚まし、持ち物をささっとまとめ、さくっと外へ出る。昨日は夜9時頃まで夕焼け空だったのに、6時半でもう日は上って、朝焼けもどこかに行ってしまっていた。

日本出発から数えて8日目の今日の目標は、モンゴルへ国境を越えること、それだけ。

なんだけど、手掛かりが無くなったので聞いて回るしかない。旅でひとに道を聞くのは苦手なんだけどな、なんて言ってはいられない。

無理やりの筆談で、国境越えた先の街ザミンウドのキリル文字(Замын-Үүд)を見せて聞いてみても、知らないひとばかり。

駅を教えてくれる人もあったけど、それではなく乗り合いタクシーで行きたかったので中国語で駅を示す「站」という字にバツを書いて確認した。それでなんとか、原付に2人乗りの車を付けたタクシーのようなものの運ちゃんに、その乗り場まで乗せてもらった。


着くとそこには5人乗りくらいのジープが1台。他にはお客さんはいなくて、お金を払ってしばらく中で待つ。なかなか出発しないけど、人が集まるまで行かないとは聞いていたのである程度辛抱する。

そこにおっちゃんが1人やって来て、片言の日本語で少し話しかけられる。埼玉に行ったことがあるらしい。旅先で日本語で話しかけてくる人には警戒しなくてはならないと頭ではわかっていても、少しほっとする。その人はその後どこかへ行ってしまった。

エンジンがかかり、ようやくジープが動き出したと思ったら、単なる客引き?だった。また動いたと思ったら、知り合いと思しき人を買い物に乗せて行くだけ。


いつ国境を越えられるんだろう……。

段々イライラしてくる。最初の場所に戻ってきたら待っていた女の子2名を乗せるも、まだ出発しない。

荷物が載せられる、米、家電、などなど。


7時半から待つこと5時間半、13時近くになってようやく国境へ向かうような雰囲気。おばちゃんが1人増えている。でも向かった先は、おばちゃんの買い物、給油、買い物…。……。車内は身動きできないほどになる。


今度こそようやく国境の方へ向かうが、警官らしき人に止められ、引き返す。その後の様子を見るに、どうやら、おっちゃんの書類不備らしい。しっかりしてくれー。


国境付近で、朝に会った埼玉のおっちゃんなど数名がやってくる。

荷を届けに来たのかと思いきや、乗るわ乗るわ、最終的には運転席1人助手席2人後部座席1列に6名という、まだお寿司の方が楽かもなというくらいのスシ詰め状態。荷物もジープの上に満載。


国境検問所で、車の荷物は載せたままでいけるのかと思っていたら、全部降ろさなくては抜けられないらしい。

自分の荷物はバックパックひとつだけど、早く国境を越えたくて他の人の荷下ろしを手伝う。


そして中国出国審査。

パスポートを見せると変な顔をされる。

…パスポート写真と今の自分が違いすぎる!!! 髪は短くなってる、メガネは変わってる、ヒゲが生えてる。到底、初見では同一人物に見えない。それでもなんとか出国。

車と合流し、みんなの荷物を積み、またスシ詰め。

数百メートルの、中国でもモンゴルでもどこでもない空間を走る。ただの地面と空。

そしてモンゴル入国審査。また荷下ろし。入国審査カードを書き、ビザに入国スタンプをもらい、無事入国。

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荷物を積むのも慣れてきて、ぼんやりと連帯感すら覚えてきた頃、着いたそこはザミンウド、モンゴル側の国境の町。着くと、荷物の上げ下ろしを手伝ったお礼にペットボトルのお茶をもらった。


埼玉のおっちゃんに手伝ってもらい、モンゴルの通貨トゥグリクへの両替をし、モンゴルの首都ウランバートルへの切符を買う。

出発まで1時間程度。どうやらこの列車に合わせて国境を越えたようだ。


22両もある列車に乗り込み、ウランバートルへ向けて出発。

このあと埼玉のおっちゃんに泣かされることになるとは思いも寄らなかった。




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