1.あの頃も僕はアホでした
2009年7月9日。出発前の期待と不安のないまぜを、期待で染めた日。新宿の高速バスターミナルで神戸行き深夜バスの出発を待つ僕の頭の中を流れていたのは、くるり「ハイウェイ」。
ひとには旅に出るいろんな理由がある。
僕が旅に出た理由は、シベリア鉄道に乗りたくて、ついでにちょっと冒険してみたかったのだった。
当時使っていた某SNSに出発前の日記がある。
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いざロシア!
出国日は明日だが、神戸港から出国するため、出発日は今日だ。
あと1時間もしないうちに家を出る。
明朝は、神戸の空。
明後日の朝は、海の上のただっぴろい空。
明々後日の朝は、まだ海の上かもしれないし、中国の空を見ているかもしれない。
1週間後はモンゴルのなんにもない地平線を眺めているかもしれない。
2週間後はロシアの思いがけない寒さに震えているかも。
1ヵ月後には日本に帰ってきているかもしれないし、帰ってきていないかもしれない。
中国までのフェリーの他は予約を一切していない。
空室のあるホテルが見つからないかもしれないし、
列車に空席がなくて半日もホームで待つかもしれない。
控え目に言って、不安は少しある。
行き当たりばったり。
この旅のテーマでもある。
うっかりすると保守に走ってしまう自分への発破でもある。
周囲にロシアに行くと話すと想像以上に心配されたので、
なんだか何か起こる気がしてきて、
とりあえず保険のランクを1つ上げた。
危なくないハプニング希望。
いってきます。
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ロシアとモンゴルのビザを取り、神戸までの深夜バスと天津までの船しか予約をせずに出かけた。宿すら取っていない。
控えめに言ってもアホである。単なる無謀だ。でも当時の自分にとっては、準備しすぎないで出かけることがとても重要だった。
シベリア鉄道はモスクワを起点にして、日本海に面した都市ウラジオストクまでを結ぶ。途中で支線があり、モンゴルを通って北京まで繋がっている。今回は北京の方から行き、ロシアに入ってからシベリア鉄道に乗ることにした。
ルートはこんな感じで考えていた(天津→北京→ウランバートル→イルクーツク→モスクワ→サンクトペテルブルク→ムルマンスク)。北欧は行きたいけど物価高いから予算を考えると難しいなーと思っていた。
どうやって日本に帰るのかなんて、まったく頭になかった。
ただただ、心が躍るままに船に乗り込んだ。
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