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18きっぷ旅: 塔、箱、人々(水戸)

下書きを眺めていたら、夏に18きっぷで旅行をしていた最後の記録が書きかけだった。
ちょうど「 #いまから推しのアーティスト語らせて 」コンテストの締切日でもあるので、 3ピースバンド People In The Box の話をしようと思う。

水戸の塔

この夏最後の18きっぷ旅は、山でも観光地でもなく、ライブ遠征になった。9月2日に発表された、People In the Boxの新アルバム「Tabula Rasa」が良すぎて、ライブ日程があまりにちょうどよかった。

水戸までは特急を使わなくても都心からざっくり片道2時間半。上野や日暮里からなら2時間で乗り換えなしでいける。都心への通勤エリアを抜けると、田んぼやこんもりした林、住宅街などののどかな風景になり、大きな駅にはそれなりの施設があった。

水戸に着き、ライブの前に時間があったので、水戸芸術館の塔に上った。

このいびつな塔は、街の離れたところからでも見え、ライブ会場からも近かった。

ライブで波多野さん(Vo., Gt., Key.)がライブ前に塔に上った話をしていた。
あまり高いところが得意では無いそうで、塔上での体験はあまりいいとは言い難いものだったそうだけど、塔の感想を山口さん(Dr.)に聞かれたときの答えがよかった。(うろ覚えだけど)
少し言いよどんだ後、「街にああいう、いびつなものがあるのって良い」「音楽はこの世界でそういうものになれる唯一のものだと思っている」。

波多野さんがライブでふと漏らす、音楽や制作への考え方、言葉の選び方はとても好きだ。

(そういえば塔という曲もあったな。「塔(エンパイアステートメント)」。これは1アルバム1トラックという面白いアルバム「Weather Report」の一章。)

箱の一段高いところ

ピープルの初めの頃は変拍子であることが紹介の筆頭だったけれど、今はそれよりも曲のポップさとイメージの豊かさを推したくなる。

どのアルバムを聴いても、映画を見終わった後のような豊かなイメージが残る。アルバム最後の曲は、エンドロールを眺めているようで、涙腺がしんどくなったり、爽やかな余韻が残ったりする。(「Talky Organs」の最後「季節の子供」を聴くといつも泣きそうになる)

寓話的な歌詞も印象的。ミヒャエル・エンデ『モモ』を尖らせたような、忍ばされた風刺に気づいたときにハッとさせられる。10周年記念アルバム「Things Discovered」に文庫本で歌詞集がついていたほどに、読み返したくなる。

出入り口

おすすめのアルバムは「Family Record」「Kodomo Rengou」。両方聞いてもらえると嬉しいです。「Things Discovered」はDisc2がベスト盤(のようなもの)だけど、メンバーのセレクトが凝ってるので入り口にいいかも知れません。

シングルでも捨て曲など一切なく(「Calm Society」は個人的に激推し)、広く豊かな沼が待っています。

最後はこの曲でお別れです。さようなら。

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