見出し画像

「社長、貸します。」1日0円〜で社長をレンタルして、仕事とお金について考えてみる


商品やサービスなど、私たちの行う仕事への対価は、先に決まっているのが当たり前。
まだ1度も一緒に仕事をしていない人同士であっても、先に金額を決めてからスタートする。


そんなやり方に慣れてしまっていたけれど、先に仕事をさせていただいて、金額は相手に後から決めていただいても良いのでは?

そもそも対価をお金でいただく必要はあるのだろうか?
仕事に対して支払われるお金は、本来「ありがとうの気持ち」を現すためのものであったはず。


こうした疑問から、ご希望の企業や組織に社長をお貸出しする、実験的なキャンペーンを行ってみることになりました。




もちろん、お金はとても大切です。
事業を健全に続けるためには、一定の収益を上げる必要があります。
仕事に対する正当な対価はきちんと支払われるべきで、これまで私たちも、職人さんをはじめ関わってくださる方々にどうすれば利益を還元できるか、「三方よし」の実現を最も大切にしてきました。


でも一方で、対価を「お金で」いただくという縛りが、同じ志を持った人たちとの協業へのハードルになってしまうことはないでしょうか。
また、すぐに利益が出ないものにはお金が払えないと短期的な成果を求めてしまったり、取り組みの自由度を狭めたりしてしまう場合もあるかもしれません。


お金にまつわる常識に縛られることで生じている不自由さから解放されると何が起こるか、「仕事とお金」について考えるこの取り組み。

昨年とてもご好評をいただき、様々なご縁があったので、2021年も実施することになりました!


2020年、社長を1日0円〜で貸し出してみた

昨年、2020年の始めのこと。

和える(aeru)では、実験的な取り組みをスタートしました。
題して「和える 矢島里佳を1日0円〜、お貸し出ししますキャンペーン!」。

社長である矢島を、他の企業や団体へお貸し出しし、対価は後からお客様に決めていただくと何が起こるだろう?という試みです。

株式会社和えるは、「日本の伝統を次世代につなぐ」ことを目指して、代表の矢島が2011年に創業した会社です。

子どもたちに贈る "0歳からの伝統ブランドaeru"
ホテルや旅館の一室をプロデュースする "aeru room"
日本の伝統に触れる学びの場 "aeru school"
企業やブランドの魅力を磨き直す "aeru re-branding"

など、日本全国の職人が受け継いできた伝統の技術を活かし、様々な事業を展開しています。

募集は主に、矢島本人のFacebookアカウントにて行い、旅費交通費をご負担いただいてご指定の場所にお伺いするか、オンラインでのご相談も可能としました。

スクリーンショット 2020-12-31 1.54.15


Facebookには、矢島が以前から面識のあった方々に加えて、フォローしてくださっている方が約4,500名いらっしゃり、その中から集まったご応募は32件

・伝統産業の職人さんの、新たなブランド立ち上げへのアドバイス
・地域に根ざしたホテルの魅力を、外からの目線で再発見したい
・とある企業の周年記念行事にて講演
・とある企業の社員さん向けに講演
・高校生が地域の伝統文化を学ぶ研修で、学びの質を高めるお手伝い

など、社員が議論を行い、選出させていただいた16件へ矢島をお貸出しすることになりました。

事例1 : お金以外の対価をいただく


1つ目の例は、富山県の尾山製材さんからのご依頼。

尾山製材さんは、仕入れてこられた木の加工・販売に加えて、木のテーブルやフローリングのような木製品のお手入れができる「みつろうクリーム」を開発されるなど、木の魅力を発信されている会社です。

画像4


ご依頼は、木製品のメンテナンス方法の発信について相談したいというものでした。
約1時間のオンライン相談を終え、お礼としていただいたのがこちら!

尾山さんの板

「木」です。

木を販売するお商売をされている製材屋さんから、仕事のお礼にと木をいただく。
お金ではなく、お互いが提供できるものを差し出す、ある種の物々交換が実現しました。


そしてその後、パナソニックさんからワークショップ企画のご依頼を受け、木の魅力とメンテナンス方法を学ぶ講座"aeru school"を開催!
いただいた木の板を活用して、様々な木の色や木目の違いをお客さまに楽しんでいただきました。

パナソニック

もともと「木製品のメンテナンス方法を発信したい」とご相談くださった尾山製材さん。

もし今回のオンライン相談が、1時間〜円のようにお金で支払うサービスだったとしたら、木の魅力を発信するこの講座は生まれていませんでした。

お金以外でも対価を支払えたことが、結果として、一緒に新たな仕事を生み出すことにつながりました。


事例2:同じご依頼内容でも、人によって対価は違う

複数の経営者様からご依頼をいただいたのが、会社の向かう方向性やブランディングについてのご相談です。

和えるでは"aeru re-branding事業”として、経営者様の思いを丁寧に伺い、会社のこれからについて整理するお手伝いをしています。
今回は1時間程度のオンラインセッションを、複数の企業に対して提供しました。

そしてみなさまそれぞれに「お礼の気持ち」と数万円をお支払いくださいましたが、金額はそれぞれとなり、自社製品をいただくケースもありました。

同じ志を持った方々と出会う最初のハードルを下げるには、同じご依頼内容・同じ時間をかけるお仕事であっても、まずはそれぞれの置かれた状況や成果に応じて異なる金額やお返しとなっても良いのかもしれません。

事例3:長いお付合いは、お金で測れない対価

最後にご紹介するのは、内閣府の事業「地域みらい留学365」にまつわるご依頼です。

事業の運営をされている一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォームさんより「矢島さんのデザイン・感性経営やアートシンキングを学ばせていただきたい」と、社内勉強会の企画で応募してくださいました。

画像6

そして、高校生を対象にした取り組みでさらに連携を深めるため、改めて予算を確保してくださることに。


貨幣経済に慣れている私たちは、知らず知らずのうちに、短期的な対価を得ることを目指しすぎているのかもしれません。
長い目でばかり見ていても会社は立ち行かないですが、今すぐの見返りを求めないことで、本当に一緒に仕事をしたい方々と長く関係を築けるとしたら、それはとても意味があります。

志をともにする人たちと長くお付合いさせていただき、目指す未来を一緒に実現する喜びは、お金だけでは測れない大切な対価の一つと言えるのではないでしょうか。

2021年の「社長お貸し出しキャンペーン」

さて、お金にまつわる常識をいったん置いたことで、様々な出会いが生まれた昨年の取り組みをふまえ、本年もキャンペーンを行うことになりました。
みなさまの自由な発想で、下記のフォームより企画をご提案いただけますと嬉しいです。

応募締切:2021年9月24日23:59
実施期間:2021年10〜2022年1月
報酬:お気持ちの分で構いませんので、お金や食べ物、工芸品、サービスの使用権など、ご提案いただいた企画の実施後にいただけますと幸いです。

ご留意事項:
・原則はオンラインでの実施ですが、実施場所への移動が必須となる内容の場合、旅費交通費はご負担くださいませ。
・企画内容は、約1時間〜1日で実施できるものをご検討くださいませ。
・ご応募の中から和える社内で検討し、お伺いする企業様を選出いたします。

キャンペーンを通して、これから長いお付き合いとなる方々との出会いがあることを、和える一同とても楽しみにしております!

和える(aeru)の公式Twitterでも、最新の取り組みや記事の更新情報などについて発信を行っています。ぜひご覧ください!https://twitter.com/aeru_