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ハヌマーンというバンドについて

僕がハヌマーンというロックバンドに出会ったのは22歳の冬で、ハヌマーンは既に解散していた。

僕が聴いていたのはインスト曲ばかりで、とりわけ、ロックというジャンルを好んで聴くことはなかった。そんな折、友人から勧められたのがハヌマーンだった。当時は年末、仕事は大型連休の最中であった。聴きながら作業でもしようと思っていたのだが、気付けば、僕はハヌマーンに夢中になってしまっていた。

それまでの僕は「歌詞に共感した」という感想をあまり好ましく思っていなかった。著名であるほど、ミュージシャンは金を持っているものだし、付随して私生活は充実するものだろう。彼らが大衆からの共感を得るために書く歌詞を素直に受け止められる器量と素直さを、少なからず当時の僕は持ち合わせていなかった。

そういちいち怒鳴るなって
誰だって誰かを殺したい 
言う?武闘派に遭遇して
同じように言う?
リボルバー
また転んだ 日々が行く
なんで僕だけと呟く
運命って言葉が浮かぶ
手も足も出せずに笑う
いつも
幸福のしっぽ

それなりに音楽を聴いてきたつもりだったが、歌詞に感動したのは初めてだったと思う。引用部分だけでは伝わりにくいが、ハヌマーンの歌詞はまるで自分の人生を覗かれているような感覚にさせられてしまうものばかりだった。アドレセンスの一部分を、飾らずに、素材のまま書き出したような表現が彼らの特色なのだと思う。

雨ざらしの学生が
笑いながら駆け抜けてく
思わず目を逸らしてしまう
覚えたばかりの毒が回り
昨日さえも昔のようです
ワンナイト・アルカホリック
アラーム音 固定パターン1に
感情まで支配される朝は
血でも魂でも何でも売っぱらって
たった一秒でも長く眠りたい
トラベルプランナー

当時、僕は社会人だったこともあり、このトラベルプランナーの歌詞を通勤電車で聴いたとき、少し泣きそうになってしまった。確かに僕は、血でも魂でも何でも売っぱらって、たった一秒でも長く眠りたかったのだ。

僕がそうであるように、調べてみると彼らの歌詞に感動している人は多くいるようだった。そしてハヌマーンを知らなくても、同じことを感じて、考えてしまう人はきっとそれなりに多くいるのだろう。縮小する青春と現実的な多くのものごとが、不安という名前のいきものを育てているのかもしれない。

勢いでここまで書いてしまった。普段文章を書かないので、これでハヌマーンの魅力が伝わったのかわからないけれど...一応、サブスクでリリースされてるので、聴いてください。お願いします。

学生風や背広の中年
下品に笑う女やら老人
どうにかなりそうな騒音が
娯楽の意味さえ掻き消すギャンブル場
Fever believer feedback

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