【学会誌】EV向けパワーモジュールのはんだ接合技術
こんにちは。
『表面技術』2023年6月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。
今回読んだ論文のタイトルは「xEV向けパワーモジュールの表面処理とはんだ接合技術」で著者は㈱デンソーの門口さんです。
内容
Sn系はんだとNiめっき接合界面における高温・大電流動作時のNiめっき拡散・エレクトロマイグレーションについて解説されています。
ここでいうNiめっきはNi-Pめっきで、下地のCuへSnはんだが拡散することを抑制する機能が求められています。
Ni-Pめっき中のP濃度が高いほど耐酸化性やはんだ濡れ性が良いのですが、拡散によるNiPめっき層の消失が速くなり、接合強度が低下する恐れがあります。
この記事では、Ni-Pめっき条件を変えて、はんだ接合界面構造の異なる試験片を作製してNiのエレクトロマイグレーションを評価しています。
また、Ni-Pめっき側だけでなく、Snはんだの結晶性の影響も評価しています。
ポイント
Ni-Pめっき膜のP濃度が高いほど、接合界面におけるPリッチ層が厚くなる
めっき表面のNiがはんだ側へ拡散するため
めっき液やプロセス条件によってNi拡散量は大きく影響される
エレクトロマイグレーションの評価では、カソード側ではNi拡散を促進し、アノード側ではNi拡散を抑制する
Sn結晶はBCT(body-centered tetragonal)構造で、比較的隙間の多い構造になっている。そのため、CuやNiの拡散係数が大きい
Sn結晶方位ははんだのボイド形成やNi消失量に影響を与える
Sn結晶のc軸方向は、a軸方向やb軸方向に比べ、格子間距離が短いため、電子流方向とc軸を直行させるとエレクトロマイグレーションの寿命を延ばすことが出来る
断面SEMや断面EBSDの分析結果で検証
今日は以上です。
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